メキシチール

笹嶋勝「クスリの鉄則」
メキシチール:過量服用のサインは?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201006/515814.html


メキシレチンの特徴

多くの抗不整脈薬では、腎障害がある患者に注意が必要であるのに対し
メキシレチンは脂溶性が高く、ほとんどが肝臓で代謝されます。
このためメキシレチンは、腎機能障害があっても一般に減量の必要はありませんが
主にCYP1A2で代謝されますので、肝代謝に関連した相互作用が多いことが要注意です。


また、投与量と血中濃度は良く相関しますが
血中濃度推移に個人差が大きい薬剤でもあります。

過量のサイン

過量になると現れてくるのは「吐き気」などの消化器症状です。
そのほかに、振戦、めまいなどの症状があります。
初回投与後や増量後に、このような症状が現れたと患者から相談を受けた場合には
過量投与を疑うことが大事でしょう。


消化器症状は水を多めに飲むことで弱まるとも言われていますので
初回投薬時には多めの水での服用をお伝えすると良いでしょう。
ただし、水分制限がない場合に限ります。

その他モニタすべき副作用

メキシレチンの副作用に「薬疹」があります。
単なる過敏症状による軽度なものから、極めて重篤なものまで
幅広く薬疹の報告がなされています。
患者から、発疹の訴えがあった場合には、程度に応じて主治医に伝えたり
皮膚科の受診を勧告したりする必要があるでしょう。
特に投与開始の3〜6週間以内に発症した場合は、薬疹の可能性が高いですから
薬剤師から医師に伝えるべきだと私は考えます。


また、食道潰瘍を起こす薬剤であることも有名です。
薬がのどに貼り付いた状態で気付かないと、そこで潰瘍を引き起こします。
添付文書にも記載がありますが、特に夜の服用が要注意です。
これも、多めの水とともに服用することで回避できます。


テオフィリンの服用患者では、相互作用が問題になります。
メキシレチンは、同じCYP1A2で代謝されるテオフィリンのクリアランスを
2分の1にしてしまうことが知られています。
これは、メキシレチンの方が、テオフィリンよりもCYP1A2への親和性が強いことが理由です。
テオフィリンの投与量によっては、テオフィリン血中濃度上昇による副作用が
現れる可能性があることを頭に入れておきましょう。


例えば、もともとテオフィリンを服用していた患者が
メキシレチンの服用を始めると同時に吐き気の症状が出現した場合
それはメキシレチンの副作用ではなく、テオフィリンの血中濃度上昇に伴う吐き気で
ある可能性もあるのです。