コルヒチン

笹嶋勝「クスリの鉄則」



コルヒチン:添付文書通りじゃ危ない!
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201103/518692.html


痛風発作の緩解及び予防」に適応を持つコルヒチンは
古くから使用されている薬剤ですが
2009年7月に米国食品医薬品局(FDA)が出した勧告の影響で
最近、投与量や相互作用に関して注意が促されるようになりました。

コルヒチンの適応外使用

特に、継続して処方されているケースでは、適応外処方がよく見られます。
皮膚科からは好中球性皮膚炎と呼ばれるベーチェット病
スウィート病、掌蹠膿疱症、強皮症などに対して
眼科からはベーチェット病によるブドウ膜炎に対して
消化器内科からは
原発性胆汁性肝硬変や消化管アミロイドーシスなどに対して処方されることがあります。
いずれも1〜1.5mg程度の処方になり
痛風発作の予防のための継続使用よりも高用量になります。

コルヒチンの副作用と禁忌

コルヒチンは腸肝循環をする薬剤で
小腸絨毛が損傷されることで「下痢」を発症します。
時には、かなり激烈な下痢になります。
神経軸索微小管の形成を阻害するため、末梢神経障害も起こります。
血中濃度がかなり上昇すると、呼吸抑制を起こすこともあります。


こうした副作用の発現リスクは、血中濃度上昇に従って高まることから
添付文書の禁忌の項には、「肝臓又は腎臓に障害のある患者で
代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤又はP糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者」
と書かれています。


ですが、肝障害が腎障害がどの程度だとリスクが高いのか
といったことに関する記載は見当たりません。
この点については、米国の添付文書にも記載はありません。

コルヒチンの用法・用量、腎障害時における注意点

添付文書の用法・用量の項には、以前から
「1日3〜4mgを6〜8回に分割経口投与する」と記載されていますが
先述の米国での勧告を受けて、用法・用量に関連する使用上の注意の項に
「投与量の増加に伴い、下痢等の胃腸障害の発現が増加するため、痛風発作の緩解には
通常、成人にはコルヒチンとして1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい」
という記載が追記されました。


この「1.8mg」というのは、アメリカでは0.6mg製剤があるからなので
0.5mg製剤しかない日本では「1.5mgまで」と解釈するのが現実的だと考えます。
そもそも痛風発作に対する効果は、1.8mgと4.8mgとで差がなかったとの報告もあり
用法・用量欄に書かれている「3〜4mg」は、使用すべきでない量だと私は考えます。


腎障害がある場合は減量も必要です。海外では
Scr≧1.6mg/mL(Ccr<50mL/min)では、1日1.2mgを越えないこととされていて
透析患者には継続的な投与は推奨できないとされています。

コルヒチンの相互作用

添付文書に記載のある薬剤の中で
クラリスロマイシンはCYP3A4を強力に阻害することおよびP糖蛋白も強力に阻害します。
肝障害や腎障害があれば禁忌の扱いになりますが
これらがなくても、可能な限り併用を避けるべきだと考えます。


特に、適応外処方で多めの量を継続的に服用している場合は
疑義照会をかけるべきで、当社では、禁忌に準じた扱いをするように指導しています。


同様に、シクロスポリンもP糖蛋白を阻害するので
併用されていたら、確認の疑義照会をかけるべきだと考えます。
ベーチェット病ではシクロスポリンと併用することがあるので、特に注意が必要です。


クラリスロマイシンとシクロスポリンは
コルヒチンとの相互作用で死亡例も報告されています。


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コルヒチン+クラリスロマイシン
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