トラマドールにも長期使用リスク

トラマドールにも長期使用リスク
他のオピオイドより依存性が低いわけではない
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トラマドールは、
米国で術後急性疼痛の治療に頻用されているが、
他の短時間作用型オピオイドよりも安全で依存性が低いことを支持する明確なデータはない。
米・Mayo ClinicCornelius A. Thiels氏らは、術後疼痛治療に
トラマドールが投与されたオピオイド未治療患者を対象に、
トラマドールの急性期使用から長期使用への移行リスクを明らかにするため、
他の短時間作用型オピオイドと比較する観察研究を行った。
その結果、トラマドールの長期使用リスクは、
他の短時間作用型オピオイドと同程度か、
やや高かったとBMJ(2019; 365: I1849)に発表した。


(中略)

処方に際しては注意が必要

トラマドールはμオピオイド受容体に対する親和性が弱いため、
便秘や呼吸抑制の発現が少なく、依存性は低い。
そのため、より好ましい副作用プロファイルであると評価され、
米国では2014年に米麻薬取締局(DEA)が管理する規制物質法によりschedule Ⅳに分類された。
これは、モルヒネオキシコドンなど
他のオピオイドの分類(schedule Ⅱ)よりも低いレベルである。
そのため、オピオイドの使用リスクを検討する多くの研究からトラマドールは除外されていた。
しかし、メディケア受給者を対象とした最近の米疾病対策センター(CDC)の研究では、
トラマドールは他の短時間作用型オピオイドよりも
急性期使用から長期使用に移行するリスクが高いことが報告された
(Morb Mortal Wkly Rep 2017; 66: 265-269)。

こうした背景を踏まえ、Thiels氏は
「トラマドールの長期使用への移行リスクは、
他の短時間作用型オピオイドと同等またはやや高いことが示された。
これは、トラマドールが他のオピオイドより依存性が低いという評価には結び付かない。
したがって、現行のDEAによるトラマドールのschedule分類を見直すべきであり、
急性疼痛患者に処方する際には注意を払う必要がある」
と指摘している。