転倒のリスク

薬剤師のための不眠症レビュー
転倒のリスクは睡眠薬の種類により異なる
東京逓信病院副薬剤部長・大谷道輝氏に聞く
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/special/sleep/201208/526242.html



◆高齢者や肝機能障害者では半減期が数倍に
睡眠薬のほとんどは肝臓のCYP3A4などで代謝されており
高齢者や肝機能障害がある患者では、半減期が数倍に延長するとされています。
従って、例えば半減期が4時間程度の超短時間作用型に分類される睡眠薬であっても
患者によっては超短時間作用型とはいえないことがあるわけです。


◆薬剤によって異なる転倒のリスク
転倒がどのような時間帯に多いのか
昼間帯(7時〜21時)と夜間帯(21時〜翌朝7時)に分類して集計してみました。


睡眠薬非投与群、および超短時間作用型(マイスリーアモバンハルシオン
投与群では、昼間帯と夜間帯で転倒発生に差はありませんでした。


ところが、消失半減期が6〜7時間程度の
レンドルミンや24時間程度のロヒプノールでは
昼間帯の転倒が夜間帯の2倍も多く発生していました。
これは、持ち越し効果が一因であると考えられました。


また、超短時間作用型の中でも、ω1選択性が高く筋弛緩作用が弱いとされている
マイスリーアモバンでは転倒が少なく、ハルシオンでは多いことが分かりました。
ハルシオンでは添付文書の副作用欄に転倒が記載されており
筋弛緩作用が転倒の要因になっている可能性があります。


(1) 転倒事故予防の観点から
   睡眠薬は転倒例が少なかったマイスリーアモバンを選択してほしい
(2) 高齢者や肝機能障害患者では半減期が数倍に延長することから
   中途・早朝覚醒を訴える患者にも、超短時間作用型の
   マイスリーアモバンを処方して経過観察してほしい