コレステロールと中性脂肪、どうすれば正常化する?

コレステロール中性脂肪、どうすれば正常化する?
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100023/091200026/?ST=medical&P=1



帝京大学臨床研究センターセンター長の寺本民生氏に聞いた。
◆LDLや中性脂肪が増えたり、HDLが減ったりする原因は何ですか。
寺本 脂質異常症の約9割は、
動物性脂肪に偏った食生活や運動不足、喫煙などの生活習慣によるもので、
遺伝からくる家族性の脂質異常症は1割程度です。

LDLが高い人はまず徹底的に動物性脂肪の摂取をやめてみる

脂質異常症で病院に行くと、すぐに薬で治療することになるのでしょうか。
寺本 家族性の脂質異常症の場合は別ですが、
生活習慣が原因の場合は、生活を変えれば改善するはずです。
そのため、通常、すぐには薬を使いません。
高LDLに対しては運動はあまり効きませんが、食事療法は効果が高く、
コレステロール飽和脂肪酸の摂取量を減らすと効果があります。


食事を変えるにあたり、まずは1カ月間、
肉や卵などの動物性脂肪を徹底的にやめてもらいます。
その生活を一生続けるわけではなく、
その人の体が食事の変化に反応するかどうかを実験するのです。
食事を変えて反応が出る人は、LDL値が顕著に下がります。
1カ月で20%も下がる人もいるほどです。
反対に、食事を変えても反応しない人には、薬による治療を検討します。


また、中性脂肪が高い人には、別のアプローチが必要です。
男性はお酒をよく飲む、女性はお菓子が好き、
という具合に男女で傾向がきれいに分かれるので、
性別によって生活指導を変えていきます。


◆最近は「食事に含まれるコレステロールは気にしなくていい」
という報道もありましたが、本当ですか。


寺本 食事に含まれるコレステロールが血中のコレステロール値に与える影響は、
個人差が非常に大きいのが特徴です。
日本人は、食事のコレステロールに反応する人・しない人の割合が半々くらい。
コレステロールの摂取量と血中コレステロール値が比例しない人も多いのです。
こうした理由で、厚生労働省が作成する「日本人の食事摂取基準2015年版」では、
コレステロールの摂取上限値が撤廃されました。


だからといって、好きに食べていいと考えるのは誤解です。
脂質異常症の人の中には、コレステロール摂取量が多いために発症する人も確実にいます。
その人たちのコレステロール摂取量を制限しなければ大変なことになります。
やはり1カ月の実験期間で食事への反応を見てから、
その人に合った生活を見つけることが大切です。

善玉のHDLを増やす特効薬は「運動」

◆善玉のHDLが低いタイプの人は、何に気をつければいいですか。
寺本 善玉のHDLには食事はほとんど関係なく、代わりに効くのが運動です。
低HDLの原因は、喫煙、肥満、運動不足の3つですが、
多くの場合、運動すれば数値は上がります。運動は、中性脂肪が高いタイプにも有効です。


特に効果的なのが有酸素運動です。
その証に、マラソン選手はHDL値が高い人ばかりです。
走るなら、少し息がはずむ程度の軽いジョギングがいいでしょう。
ここで肝心なのは継続すること。
中断しないよう、無理のない運動を選ぶ必要があります。
早歩きでも何でもいいので、とにかく続けてください。


有酸素運動に加え、筋力トレーニングも重要です。
筋肉の動きが活発になると糖の利用が増え、糖尿病のリスクが下がります。
動脈硬化にはストレスも関与するため、筋肉を使ってストレス解消できれば一石二鳥です。