ニボルマブ オプジーボ

毎日のクリニック:新作用のがん治療薬 体の免疫力を引き出す
http://mainichi.jp/health/news/20150219org00m100017000c.html



◇まず悪性黒色腫で承認/副作用と負担額に課題/選択肢の広がりに期待
免疫機能を利用してがん細胞に対抗する新たなタイプの抗がん剤
昨年9月、世界に先駆けて日本で発売された。
抗PD−1抗体薬「ニボルマブ(商品名オプジーボ)」だ。
現在は悪性黒色腫(メラノーマ)の治療だけに使われているが
今後、適用の拡大が見込まれている。


「メラノーマでリンパ節や内臓への転移がある場合、
これまでは有効といえる治療はほぼないと言うべき状況でしたが、
抗PD−1抗体薬の登場で効果のある治療の扉がようやく開かれたといえます」
ニボルマブを評価するのは、メラノーマの治療に詳しい
がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科医長の吉野公二さんだ。


抗PD−1抗体薬は
免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれ、ニボルマブが国内初めての承認となった。


体内に異物や外敵が侵入すると
T細胞と呼ばれる免疫細胞が主体となって排除のために攻撃する。
がん細胞は健康な人でも生み出されるが、がんを発症しないのは、
T細胞など免疫細胞ががん細胞も異物と判断し排除するからだ。


一方で、がん細胞にとってはこうした体の仕組みは不都合だ。
そこでPD−L1という物質を作って攻撃をかわそうとする。
T細胞の表面にはPD−1受容体がありPD−L1と結合すると攻撃にブレーキがかかる。
ニボルマブは、一足先にPD−1受容体と結びつき、
PD−L1との結合を邪魔してT細胞の働きを守るのだ。


免疫チェックポイント阻害剤は現在、がん治療で脚光を浴びており、
世界の製薬大手がこぞって開発を加速させている。
米国では11年にPD−L1と同様に
T細胞の働きを抑える分子のCTLA−4をブロックしてT細胞を活性化させる
抗CTLA−4抗体薬のイピリムマブが承認済み。
さらにPD−L1と結びつく薬の開発も進行中だ。


また、T細胞を活性化させるという作用の仕組みから
メラノーマに限らず幅広いがん治療に使えることが期待されている。


免疫チェックポイント阻害剤の研究をしている
国立がん研究センター中央病院先端医療科の北野滋久さんは
「国内外で非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、胃がん、ぼうこうがんなどを対象に、
複数の免疫チェックポイント阻害剤が承認に向けた最終段階である
第3相臨床試験を既に開始、または準備中です」と解説する。