痛風対策、生活改善で
飲み過ぎ・肥満防ぐ 遺伝子タイプで発症リスクに差
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO71969080Z20C14A5EL1P00/
暑くなる季節は、
足の親指の付け根などが腫れて激痛に襲われる「痛風」の発作が多くなる。
発汗などで体内の尿酸の濃度が高まるのが原因といわれる。
尿酸は男性ホルモンの働きで体内で増えやすいため、患者の9割以上が男性だ。
女性では女性ホルモンの影響で体内の尿酸濃度は低くなるが、閉経後は注意が必要だ。
遺伝子のタイプが発症しやすさに関係しているのも分かってきた。
防衛医科大学校の松尾洋孝講師らが痛風を発症した男性患者約700人を調べると、
4人のうち3人の割合で「ABCG2」という遺伝子に特定の変異があった。
体外に排出される尿酸の約3分の2は尿を通じて体外に排出されるが、
残りは腸管から出ていく。
この遺伝子は主に腸管での排出に関わっており、変異があると排出機能が弱まる。
発症リスクは排出機能が正常な人の3倍以上で、
変異の中でも特に機能が低いタイプに限定すれば10倍。
これを20代以下だけで計算するとリスクは約22倍になった。
研究チームによると、尿酸値が7ミリグラム以下の健常な男性約1900人では、
正常タイプと変異タイプの割合はほぼ半々だった。
松尾講師は「健常な人でも尿酸値が高まるような状態になれば、
2人に1人は痛風になりやすい要因を持っている」と指摘する。
「江戸時代以前、日本の痛風患者はゼロに近かったといわれている」
と松尾講師は解説する。
遺伝子タイプの割合も現代とほぼ同じだと考えられるが、
伝統的な食生活などの影響で患者は出なかった。
「食生活や肥満などに気をつければ、発症リスクの高い遺伝子変異を持つ人でも
痛風の発症を避けられる可能性が高い」(松尾講師)といえそうだ。