社員の「うつ」、血液で見抜く

社員の「うつ」、血液で見抜く 早期発見へ
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69636370Z00C14A4X11000/?n_cid=TPRN0001



東京都港区にある精神科診療所、
川村総合診療院を20代半ばの男性会社員が訪れた。
仕事で突然ミスが続き、上司から精神科の受診を勧められたという。
だが診断はうつ病ではなく、男性の能率低下の理由は、不規則な生活による脱水症状だった。
最終的には男性は食事や水分摂取などの生活指導だけで、通常通りの業務が可能になった。


川村総合診療院の川村則行院長がこの男性を「うつ病ではない」と判断したのは、
血液中の「エタノールアミンリン酸(EAP)」の数値が正常だったため。


EAPは、川村氏がヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)
と共同で開発を進めるバイオマーカーだ。
HMTは東証マザーズ上場の慶応大発ベンチャーで、細胞の代謝物の分析を請け負う。


「男性会社員は、通常の精神科医ならば間違いなくうつ病と診断して薬を投薬するケース」
と川村氏は話す。


1万円から2万円程度での計測が可能となり、実用化も視野に入った。
HMTによるとうつ病を拾い上げる「感度」は80%以上、
うつ病でない場合にうつ病と診断されない「特異度」は95%を超える。
既に川村氏は試験的に約1200人、2500例で計測を実施、実用性に自信を示す。


血液検査でうつ病の可能性が分かるようになれば、内科医でも早期に診断でき、
精神科を紹介できるほか、患者自身も自分の状況を正確に把握できるようになる。


「EAPでうつ病診療は変わる」と川村氏。
HMTでは今年度よりEAPを試行する医療機関数を増やし、
19年をめどに保険収載を目指す。


ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ
http://www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scode=6090