サバ缶ダイエット リバウンドしにくい効果も

サバ缶ダイエット リバウンドしにくい効果も
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK11028_R10C14A3000000/



サバ缶でやせられるらしい――。
テレビのダイエット特集の影響でこんな情報が飛び交ったこともある。
実はダイエット効果が期待できるのは青魚に多く含まれるEPAという成分。
そもそも、EPAはなぜダイエットに効果的なのか?


EPAのさまざまな健康パワーについて、日本水産のファインケミカル事業部で
EPA研究に携わるジュネジャ・プラティークさんに聞いてみた。


◆EPAが運動によるダイエット効果を高める
EPAとは、健康維持に欠かせない「必須脂肪酸」の一つ。
EPAは血液中の中性脂肪を減らすだけでなく、
運動と組み合わせると体脂肪減少を促進するという実験結果もある。


過体重の男女30人に週3回、45分間のウォーキングを12週間続けてもらったところ、
「EPA+ウォーキング」を実践した人は、
プラセボ(偽薬)+ウォーキング」に比べて体脂肪の減少幅が大きく、
筋肉などの増加幅も大きかった。


◆GLP-1の分泌を促進
さらに最近では、EPAをとることで小腸から
「GLP-1」というホルモンの分泌が促進されるということで注目を集めている。


GLP-1は肥満の人には少ないといわれている。
GLP-1には、余分な糖が腸で緩やかに吸収されるのを助け、
食後の血糖値の急上昇を抑える作用や、
胃の内容物の排出を遅らせることで満腹感を高め、
食欲を抑える作用などがあることもわかっている。


腸は食べ物を消化するだけでなく脳と密接につながっており、
腸から分泌される満腹感に関するさまざまなホルモン(GLP-1など)と
脳からの指令が、代謝に強く関連していると推測されている。


「少量で満腹になる人と、たくさん食べても満腹感を抱かない人がいるのは、
こうした腸から出るホルモンのバランスにもよります」(ジュネジャ氏)


食事からEPAや食物繊維をとることで小腸の細胞が刺激され、
GLP-1の分泌が促進される。


単独でもよいが、EPAと食物繊維を組み合わせれば、
より少ない食事量でも満腹感を得られると考えられる。


◆EPAはお肌にもいい。生理痛の軽減、持久力アップにも
EPAはダイエットに役立つ以外にもさまざまな健康効果がある。
血液をサラサラにする効果により血流が改善されると、肌の新陳代謝が活発になる。
また、EPAには、紫外線によるDNAの損傷や炎症を抑えることにより、
肌へのダメージを軽減する働きもある。


「EPAには、赤血球の膜をやわらかくして、
毛細血管にもスムーズに入り込んでいきやすくすることで、
酸素を体のすみずみにまで運ぶ能力を高めるはたらきもあり、
持久力の向上につながることから、アスリートにも注目されています」(ジュネジャ氏)


消費者庁が2012年4月に発表した食品の機能性評価に関する調査では、
ラクトフェリン、BCAA、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸など11の成分の中で、
EPAを含むn-3系脂肪酸だけがA評価を獲得した。
つまり、多数の研究を検証した結果、行政からも十分な科学的根拠があると認められた。
体質を根本から改善するからこそ、いろいろな面に効果が現れるのかもしれない。


◆1日1000ミリグラムが目標。魚を食事に取り入れよう
では、EPAは1日にどれだけの量をとればいいのか。
また、サバのほかにどんな魚に多く含まれるのか。


厚生労働省の食事摂取基準では、
EPAとDHAを併せて1日に1000ミリグラム以上とることが推奨されている。
サバの水煮だけでなく、イワシ、マグロなどにも多く含まれているので、
これらの魚を食事にバランスよく取り入れたい。


ただし、EPAの含有量は時期や魚種などによっても変化するので、
基本的には、旬の「脂がのった」魚を鮮度の良い状態で食べるのがおすすめ。


調理によって脂肪分が溶け出してしまうこともあるので、
できるだけ煮汁も残さずにとれるよう調理の仕方も工夫したい。
刺身や焼き魚、煮魚などいろいろな調理法で食べるのがよいだろう。
缶詰は保存も利くので手軽に利用しやすいが、サバの水煮がなくても、
サンマやイワシの蒲焼き、サバの味噌煮や醤油煮の缶詰でもよい。