野菜のおいしい保存術

イモ・タマネギは常温で 野菜のおいしい保存術
新鮮なうち冷凍・乾燥も
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58034580S3A800C1W05001/






「野菜は何でも冷蔵庫に入れればいいと思ってはいけない」。
「八百屋の匠(たくみ)」として知られる杉本青果店(足立区)の店主、杉本さんはこう話す。


野菜の中には寒さに弱く、冷蔵庫で冷やし過ぎると低温障害を起こすものもある。
暑い時期に育つ夏野菜がまさにそうで、長い間冷気に当たると、
ナスは種が黒くなったり、
トマトは実が透き通ってぶよぶよしてきたりする。
暖かい地域が原産のサツマイモも低温は苦手だ。


低温障害に遭いやすい野菜は常温で保存、
それ以外の寒さに強い野菜は冷蔵庫での保存が適している。


ただし夏のこの時期、
トマトやナスの常温保存は都会の住宅事情では難しいかもしれない。
昼間留守になり、室温が30度を超えるようなら冷蔵庫に入れるほうが無難だ。


冷蔵庫での保存が適している野菜も、適当に放り込めばいいわけではない。
「上手に保存したいなら、まずは冷蔵庫の特質を再確認してほしい」と、
管理栄養士・料理家の松村真由子さんは話す。


冷蔵庫の中は思っている以上に乾燥している。
野菜は乾かないよう、ポリ袋に入れるのが基本だ。
葉もの野菜は袋の口を開けたまま売っていることが多いので、
上からもう1枚袋をかけて、葉先の乾燥を防ぐといい。


松村さんは、野菜は洗ってから冷蔵庫に入れることを勧める。
「泥や汚れ、中には虫がついている野菜もあり、そのまま入れると不衛生」なためだ。
まとめて洗っておくと、料理のたびに少しずつ洗う手間を省けるメリットもある。
ただし野菜は水分がついていると腐りやすいので、水気はしっかりと拭き取ろう。


畑で育つ姿で保存するのもポイントだ。
例えば葉ものやアスパラガスのように上に伸びる野菜は、
冷蔵庫の中でも立てておくと、栄養を消耗しにくい。





一方、「どう保存しても、味が落ちる野菜もある」(杉本さん)。
その代表がトウモロコシ。収穫時には甘いが、あっという間に甘みがなくなる。
トウモロコシはその日食べる分だけ買うのが基本だ。


トウモロコシほど極端でなくても、
どの野菜も時間とともに味、栄養は落ちていく。
例えばキュウリは「シャキシャキ感は長く保てても、香りは3日で消える」(杉本さん)。
野菜は「生きるために栄養素を自己消費している」(松村さん)と考えていい。
4、5日で食べ切れないと判断したら、鮮度のいいうちに加工するほうが賢明だ。


加工方法は複数ある。
野菜料理家の庄司いずみさんは
「料理の素材として使うか、そのままおかずにするか、
用途によって加工方法を使い分けるといい」と助言する。


煮物やいため物、汁物の具など素材として使うなら
(1)生のまま切って冷凍する
(2)固めにゆでて冷凍する
(3)干し野菜にする――方法が便利だ。