トランス脂肪酸 米国で禁止の動き

トランス脂肪酸>米国で禁止の動き 日本では表示義務なし
http://mainichi.jp/select/news/20140117k0000m040025000c.html



マーガリンや油にはトランス脂肪酸が含まれる。
健康へのリスクが十数年前から指摘され、
昨年11月にはFDAが段階的に禁止する方針を打ち出した。


◆マーガリンなどに含有/日本では表示義務なし/脂質過剰摂取は避ける
「食品に使う上で安全とは認められない。
(規制によって)米国内で年間2万件の心臓発作を予防し、7000人の死者を減らせる」。
FDAはトランス脂肪酸「禁止」の意義を、このように説明している。


脂質の一種であるトランス脂肪酸は、
牛や羊の内臓で微生物によって生成され乳製品や肉に含まれる反すう動物由来のものと、
工業由来のものに大別される。主に問題とされてきたのは後者だ。


植物油を製造する際、油の臭いを取り除くために高温で加熱処理したり、
液体の植物油に水素を加えて常温で固まりやすい「硬化油」に加工したりする過程で
トランス脂肪酸は生成される。


含有量が多いのは、
油脂含有率が80%以上のマーガリ
80%未満のファットスプレッド
パンやビスケットなどの原料や、ポテトを揚げる調理油として使われるショートニング
コーヒーに入れる液状のクリーム−−などだ。


トランス脂肪酸は大量に摂取すると
LDLコレステロールを増やし、狭心症心筋梗塞のリスクを増大させるほか、
肥満やアレルギー性疾患との関連も指摘されている。


米国では、1日当たりのトランス脂肪酸の摂取量が5・04グラムの人は
0・84グラムの人に比べ、心筋梗塞のリスクが1・94倍に高まるとの研究がある。
認知症や炎症性腸疾患を誘発するとの報告もある。


国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部第3室長を務める畝山智香子さんは
トランス脂肪酸は天然の食材にも含まれるため、摂取量をゼロにするのは不可能です。
FDAの規制は硬化油のマーガリンやファットスプレッドショートニングが主な対象。
直ちに使用禁止ではなく猶予期間を設け、
最終的にFDAの承認がないと食品に添加できなくするとみられます」と解説する。


日本人のトランス脂肪酸摂取量は1日平均0・7グラム、
総エネルギー量の0・3%だ(内閣府食品安全委員会の2006年度推計)。
世界保健機関(WHO)が目標とする1%未満を満たしている。
一方、米国は1990年代半ばに1日5・8グラム、
総エネルギー量の2・6%と高かったが、
危険性が叫ばれたために03年には4・6グラム、12年には約1グラムに減った。



米国が06年に含有量の表示を義務化したのを受け、
日本国内のメーカーやファストフード産業はトランス脂肪酸を減らす取り組みを進めてきた。


表の含有量は06年当時の商品の値なので、現在とは異なる可能性がある。
実際、日本マクドナルドは07年にフライドポテトを揚げる油を変え、
含有量を6分の1に減らした。
ミスタードーナツも07年にドーナツ1個当たり
平均1〜1・5グラム含んでいたトランス脂肪酸を0・25グラムにカット。
セブン−イレブンはオリジナル商品の原材料を見直し、
人気の菓子パン「いちごジャム&マーガリン」の含有量は
05年に100グラム当たり平均1・86グラムだったが、12年には0・15グラムに。
各社は「おいしさと健康を両立させている」と口をそろえる。