防御因子増強薬

笹嶋勝の「クスリの鉄則」

防御因子増強薬(1)
粘膜抵抗増強薬の特徴と注意点
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201205/525116.html


粘膜抵抗増強薬

潰瘍病巣保護薬

EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン」にもスクラルファート、ミソプロストール
(サイトテック)、エンプロスチル(カムリード)以外は単剤での効果が期待できず
第一選択薬として勧められないとされています。
本剤は国内外で、H2ブロッカーと同等の効果が認められています。
本剤は、酸性の条件下で接着性蛋白と複合体を形成して、胃粘膜にバリアを形成します。
食前に服用すべき薬剤です。海外では空腹時服用となっています。
添付文書には服用時点の記載がないのですが
インタビューフォームには治療効果の比較があります。
食前+就寝前服用の4週間後の治癒率が91.7%だったのに対し
食後+就寝前服用では75.2%だったことから
「胃内空腹時の服用が望ましい」と書かれています。
アルミニウムを含むため透析患者への使用は禁忌ですし
吸収に関わる相互作用も多いです。特に甲状腺ホルモンとの併用は注意が必要です。

  • ポラプレジンク(プロマック)

創傷治癒促進作用のある亜鉛と、組織修復促進作用、免疫調節作用
抗炎症作用を持つL-カルノシンを錯体とした薬剤です。
亜鉛を含むことから、適応外ですが亜鉛欠乏によって発症する
味覚障害や皮膚障害に対してもよく処方されます。
クローン病に使用することもあります。
亜鉛は細胞性免疫にも関与していること、クローン病では亜鉛の吸収不良を伴うためです。

フリーラジカルを除去する作用もあるので
癌治療に伴う口内炎に含嗽剤として使用することもあります。
放射性直腸炎の治療目的で、坐剤を院内製剤している病院もあります。
1日2回の服用で十分な薬剤です。

組織修復促進薬

  • エカベトナトリウム水和物(ガストローム

松ヤニの成分から見いだされた抗潰瘍成分です。
局所粘膜に直接結合して被覆保護することや、抗ペプシン作用のみならず
ヘリコバクターピロリのウレアーゼ活性阻害に基づく殺菌作用が報告されています。
難治性潰瘍にも効果があるとされ、H2ブロッカーとの併用では
H2ブロッカー単独よりも優れた効果を持つことが示されています。
難治性口内炎にも効果を発揮するほか、潰瘍性大腸炎にも
注腸で用いられることがあります。1日2回服用というのも特徴です。

  • 銅クロロフィリンNa・プロパンテリン臭化物・ケイ酸Mg(メサフィリン)

独特なにおいと色があります。
プロパンテリン臭化物が抗コリン薬ですので
緑内障前立腺肥大症による排尿障害などが禁忌になっています。

  • アルギン酸ナトリウム(アルロイドG)

褐藻類(ワカメやコンブの仲間)に含まれるアルギン酸に
止血作用や粘膜防御作用のあることが分かりました。
投与直後から粘膜保護作用を示すこと、消化管から吸収されないという特徴があります。
液剤を軽量化した顆粒溶解用の製剤も発売されています。