テラプレビル

変わるC型肝炎治療 新しい併用薬 承認
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2011100402000102.html



肝臓がんを引き起こすC型慢性肝炎の治療が変わりそうだ。
既存の薬との併用で、従来の治療では治りにくいウイルスを持つ人の治癒率が上がる
新しい飲み薬「テラプレビル」の国内製造と販売を9月26日、厚生労働省が承認。
年内に保険適用され、来年3月末までに販売される見通しとなった。


「テラプレビル」(商品名:テラビック錠)は
肝炎ウイルスの増殖に関わる酵素プロテアーゼの働きを妨げ
ウイルスの増殖を抑える飲み薬。田辺三菱製薬が1月に厚労省に承認を申請した。


それに先立ち、虎の門病院などで
従来の薬が効きにくいウイルスに感染している患者を対象にした治験が実施された。


ウイルスの増殖を抑えるIFNを改良したペグIFNの注射と
抗ウイルス薬リバビリンの服用を48週間併用する標準的な治療で
ウイルスを体内から排除できる患者は49%。


この2剤にテラプレビルを併用した場合、ウイルスを排除できた割合は73%に上った。
しかも治療の初期に排除できる率が高く、治療期間は標準的な治療法の半分の24週間で済む。


もともとIFN治療は、初期の発熱や頭痛に始まり、皮膚炎、全身のだるさなどの副作用が出やすい。
虎の門病院分院(川崎市)の熊田博光分院長によると、テラプレビルの併用では
発熱、頭痛などの副作用は従来通りに出て、貧血と皮膚炎の副作用が重くなる。
「従来の治療法でも、貧血の副作用がひどくなるのを防ぐため毎週、血液検査をして
薬を調節する。このルールを厳密に守る必要がある」と注意を促す。


一方で「早く効くので、副作用で治療を中止しても、半分の人は治っていた」
と効果の大きさも指摘する。


国は2008年から肝炎患者に医療費を助成しており
IFN治療は原則月1万円で受けられる。
テラプレビルの助成対象化に患者の期待は高い。
厚労省は「薬価決定後、検討する」としている。


熊田分院長によると、他にウイルスの増殖を抑える薬3種類が国内で治験されており
2〜3年後に承認される可能性がある。いずれもIFNとの併用が前提。


副作用の強い人の治療の可能性を広げようと、副作用の強いIFNを使わず
内服薬を組み合わせる治療法も研究されている。


◆肝がんの8割、C型肝炎から
C型慢性肝炎 C型肝炎ウイルスに感染した人の7割前後が慢性化する。
無症状のため感染に気付かない人も多く、患者と合わせて持続感染者は
150万〜200万人と推定されている。


ウイルスが肝細胞を破壊し、治療せずに放置すると肝硬変、肝がんに移行する。
肝がんの8割がC型肝炎からの移行で、C型肝炎の治療が肝がんの予防になると考えられている。


血液で感染する感染者の多くは
医療現場で感染対策が強化された1990年代初頭以前に
輸血などで感染したと考えられている。
ウイルスには4種類あり、治療を受けた場合の治りやすさがウイルスごとに違う。