沖縄小児漢方・心身医療懇話会 ツムラ
Hotel Nikko Naha Grand Castle
【特別講演】
皮膚疾患における漢方治療(アトピー・にきび・じんましん)
◎夏秋優先生(兵庫医科大学皮膚科学講座准教授)
気とは生命活動を営むエネルギ−であり、主に神経系の働きによる生体の諸機能の調節力。
血は生体を物質的に支える赤色の液体で、血液とほぼ同じもの。
水は生体を物質的に支える無色の液体で、組織間液やリンパ液に相当すると考えられる。
これらの要素の不足、あるいは停滞によって生体に異常を生じる。
気の不足を気虚、気の停滞を気滞と表現する。
また、血の不足を血虚、血の停滞を瘀血、水の停滞を水毒(水滞)と呼ぶ。
血虚になると皮膚の乾燥や萎縮
瘀血を生じると皮膚の色素沈着や苔癬化を生じる。
水毒(水滞)では浮腫や水疱、あるいは浸出液を生じると考えられる。
気血水の異常に対する治療としては、まず気虚には補気剤、気滞には理気剤
血虚には補血剤、瘀血には駆瘀血剤、そして水毒には利水剤を用いる。
寒・熱について
全身、あるいは局所に寒気を自覚し、寒冷環境下で症状が悪化しやすく
温めると軽快する体質や状態を寒証と呼び、治療としては温める薬である祛寒剤を用いる。
一方、顔面が紅潮し、口渇して冷水を好む場合
あるいは局所の充血、熱感、拍動性疼痛などの症状は熱証と呼ぶ。
皮膚の炎症は基本的には熱証であると考えられ
熱証の治療には熱をさます薬として清熱剤を用いる。
http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-091126.pdf
アトピー性皮膚炎
白虎加人参湯
ほてりを自覚する患者に有効。
熱を冷ましすぎると症状が悪化することがある。
冷えのある患者には注意する。
1日18gから使うこともある。最終的には頓服まで減らす。
越婢加朮湯
水疱、湿潤などジュクジュクした患者に有効
桂枝茯苓丸
瘀血をとる。
顔の赤みが熱か瘀血かわからない場合には2剤使う。
ステロイドは消防車。火事をしっかり消し止めることが重要。
チョロチョロ塗っていてはだめ。最初はしっかり塗らせる。
痤瘡
十味敗毒湯
華岡青洲が考案。
小丘疹で、膿疱、滲出液が少ないなどの浅い患者に使う。
荊芥連翹湯
ニキビが深い患者に使う。
http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/134/index.htm