五積散

ツムラ漢方スクエア 私の漢方診療日誌
大阪大学大学院医学系研究科 漢方医学寄附講座 岸田友紀先生

http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/131/rensai2.htm


整形外科からリウマチの64歳の女性が紹介されてきた。
抗リウマチ薬とステロイドで、CRPは0.9程度で安定。


「太ももから下が冷えます。梅雨が明けるまで、炬燵が必要です。
寝るときもカイロと靴下がいります。雨や、寒い日は、関節が冷えて痛みます。」


五積散 (ゴシャクサン)7.5gを4週間処方した。



4週後、「足がポカポカして、調子いい」
8週後、「調子いい。かがんでも平気になった。血液検査したら、CRPが0.2以下」
あれから4年経った今も五積散をベースに、微調整しながら漢方薬を続けている。


◇まとめ
五積散の構成生薬は多い。
湿をのぞき筋関節痛を治す麻黄・白芷、血行を促す当帰・川芎
去痰作用をもつ桔梗・陳皮・半夏
利水作用をもつ茯苓・蒼朮
食や精神的要因による腹部の張りや膨満感を治す生姜・厚朴・枳実が入り
さらに桂枝加芍薬湯を含んだ処方である。


生薬構成から考えれば
湿による冷えや気血水の滞りによって体が痛み
お腹が冷えている人に使う漢方薬、ということになる。
これだけそろう人はなかなかいないが
リウマチや膠原病の人には、使ってみたくなる処方ではある。


今回の症例は、西洋薬によって、特に関節の状態がよく制御されていたので
五積散が最後の一押しをしてくれたのだと思う。