加味逍遙散

【漢方のちから】

更年期障害の精神神経症状に「加味逍遙散」

http://sankei.jp.msn.com/life/body/100831/bdy1008310814002-n1.htm



「加味逍遙散」は「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」とともに3大婦人漢方薬として定評がある。
更年期障害の中でも主に精神神経症状を訴える場合に用いられてきた。


弘前大の水沼英樹教授(産婦人科学)は
更年期の精神神経症状(イライラや不眠、抑鬱、不安など)に対して
漢方薬の「加味逍遙散」がどれだけ効果があるのかを探るため
28施設に協力を呼びかけ、ホルモン補充療法(HRT)との比較試験を実施した。

HRTは閉経前後に急激に減少する女性ホルモンのエストロゲンを補う治療法。
ほてりやのぼせ、冷えには高い効果があるが、精神神経症状での効果は4割ほどとされる。


比較試験は、更年期障害と診断された閉経後の女性103人が対象。
これらの女性を加味逍遙散、HRT、併用(加味逍遙散+HRT)の3グループに無作為に分け
抑鬱、不安、不眠の症状が4週後、8週後にどれだけ改善したかを比較検討した。
結果は加味逍遙散にHRTと同等の効果があることが確認された。


特にめまいや動悸、イライラについては加味逍遙散の方が効果が高かった。
一方、発汗や中途覚醒ではHRTの方が効果があった。
また、HRTでは胸のはりや出血などの副作用が出た人がいたが
漢方ではこうした副作用はなかった。

加味逍遥散とHRTの更年期障害に対する効果比較


【用語解説】更年期
女性の閉経をはさむ前後約10年間を指す。
この時期に起こるのぼせや発汗、頭痛、イライラなどの症状が
日常生活に支障をきたすほどつらい場合、更年期障害として治療の対象となる。
欧米では更年期女性の約30%がHRTを受けているが、日本では数%。
その背景に漢方の利用があるとみられ、アンケート(平成18年)では
更年期症状の緩和に漢方を使ったことのある人は176人中77人おり
更年期女性の半数近くが漢方を利用していた。