禁煙治療学術講演会
沖縄県医師会館
【講演1】 『タバコの健康警告』 ちばなクリニック 清水隆裕先生
写真は日本とタイのマイルドセブンライトである。
タイのパッケージにはWHOの勧告通り
50%以上の面積で写真入りの警告があるが
JTはWHOの勧告に従っていない。
またWHOは「ライト」という表現は好ましくないと勧告しており
タイでは「ライト」ではなく、「スカイブルー」となっている。
日本の警告文は財務省が作成している。
税収を減らしたくないため、財務省はWHOの勧告に従っていない。
少し前まで「吸いすぎに注意しましょう」と書いてあったが
今は書かれていない。
本数を減らしてもリスクは減らないからである。
軽めのタバコに変更してもリスクは減らない。
タバコの先端と根元ではニコチン濃度が違う。
根元まで吸うほどにニコチン濃度は上がっていく。
日本のマイルドセブンには8(mg)と書かれているが
タイのマイルドセブンにはmgの記載がない。
意味がないからである。
よって、患者に対して
「タバコを減らしましょう」とか
「軽めのタバコに換えましょう」と言ってはならず
「タバコをやめましょう」と言うべきである。
喫煙者はタバコでストレス解消になると言う。
たとえば、車が渋滞してイライラすると言って、タバコを吸っても
渋滞が解消するわけではなく、渋滞が引き起こすストレスには変化がない。
タバコが効くストレスは、ニコチン切れのストレスであって
ニコチン切れのストレス以外には何も効果がない。
もともと吸っていなければ
ニコチン切れでイライラすることはなかったのだ。
【特別講演】 『禁煙治療における心理療法の役割』 トヨタ記念病院 磯村毅先生
ニコチンはドパミンを強制的に分泌させる。
初めての喫煙では、刺激が強すぎて吐き気、めまいなどを起こす。
しかし、繰り返し喫煙することにより感受性が低下する。
簡単に言えば、神経が弱っていく。
ニコチン依存が成立すると、ニコチンがなければ癒しや安らぎは得られなくなる。
食後にタバコを吸う喫煙者は多い。
喫煙者は好物を腹いっぱい食べても物足りなく感じる。
本来であれば食事により活性化されるはずの報酬系が
ニコチンにより感受性が低下し、食後の満足感が得られないからである。
酒の席における喫煙本数の増大も同様である。
非喫煙者は仕事が終わってドパミンの分泌が盛んであるが
喫煙者は報酬系の反応が弱く、幸せを感じにくい。
楽しむためにはニコチン刺激により、ドパミンの強制分泌を図る必要が生じる。
これを繰り返すうちにドパミンは枯渇し、最後には
「ちっともおいしくないのに吸い続ける」という状態に至る。
重要なのは、喫煙者自身が
「憩いや安らぎが感じにくい状態」に気づいていない点である。
ニコチンにより神経の感受性を奪われて
喫煙者になる前はどうだったかという視点なしに
単純に、「タバコにより憩いや安らぎが得られる」と考えてしまう。
禁煙することによりドパミンは正常化し、本来の幸せが回復してくる。
チャンピックス ファイザー
《禁煙治療のスケジュール》
12週間で5回の診察を受ける
初回、2週後、4週後、8週後、12週後
《チャンピックス治療の自己負担》
初診料+再診料 | 2,286円 |
ニコチン依存症管理料 | 2,886円 |
チャンピックス | 11,298円 |
院外処方せん料 | 816円 |
計 | 17,286円 |
(3割負担として)
英国王立医師会報告(2000年)
《依存症のなりやすさ》
ニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェイン
《禁断症状の強さ》
アルコール>ヘロイン>ニコチン>コカイン>カフェイン
《使用中止困難度》
ニコチン=アルコール=コカイン=ヘロイン>カフェイン
Royal College of Physicians 『Nicotine Addiction in Britain』
http://sugu-kinen.jp/handbook/index.html
タイのたばこパッケージ