会社を辞めて、博多を去る

10月2日土曜日の昼すぎ

新幹線の車内ニュースをぼんやり眺めていた僕は

イチローがシスラーの大リーグ記録を破ったことを知った。


その時の僕は

永い年月の会社人生を反芻しながら

かつてなくセンチメンタルな気分になっていて

胸が詰まるような感じがして、ひどく苦しかった。

本を読む気も無く、何かを食べたいという気にもならなかった。


しかし、京都駅に降り立ち、湖西線に乗り換える頃

不思議なことにそんな気持ちはすっかり忘れてしまっていた。


京都駅にはウジャウジャ人がいて
嫌でも関西弁が耳に入ってくると

なぜか僕の体内には、急にアドレナリンが湧き出してきて

意味も無く「やったるでー!おらおらーっ!」と雄叫びをあげた。


そして、僕はこれから世界へ踏み出すのだ!