麻黄湯の使い方

まさかインフルエンザ?〜こんな時こそ漢方薬 麻黄湯の使い方〜
福井大学医学部附属病院 救急部・総合診療部 小淵岳恒
http://www.kampo-s.jp/web_magazine/back_number/283/rensai-283.htm



麻黄湯
・ 麻黄(英名:Ephedra)から抽出したのがエフェドリン
・ 杏仁:咳を抑える
・ 麻黄:発汗、発散
・ 桂皮:発汗、発散
・ 甘草:炎症、アレルギー緩和作用
平素から丈夫で体力充実した人の熟性疾患の初期で
頭痛、発熱、悪寒、腰痛、四肢の関節痛などがあり、
自然発汗がない時


杏仁(咳を抑える)、
麻黄・桂皮(発汗・発散)、
甘草(炎症・アレルギー緩和作用)が主に含まれており、
これらの生薬は、主に「発汗・発散」を促し、炎症を鎮めるなどの効果をもつ。
着目すべき点は、麻黄湯は「発汗を促す」ことである。
西洋医学の薬剤には「熱を下げる」という効果をもつ薬剤はあるが、
発汗を促すという概念の薬剤はなく、
この考え方がインフルエンザの治療に非常に有効である。


麻黄湯を処方する際に必ず確認したいのが「発汗があるかないか」ということである。
熱は高いが比較的元気に外来に受診し、
診察をしたところ発汗がないケースが麻黄湯のよい適応である。
発汗があるときには麻黄湯以外の漢方薬を選択したほうが良い。


麻黄湯を処方する際には、注意点がいくつかある。
1つ目は「飲んだら体を冷やさないこと」である。
自宅に帰って麻黄湯を内服し、布団をかぶって寝ることが重要であり
体を温めて発汗を促すと回復が早いとされている。


2つ目は「高齢者は寝る前には服用しないこと」である
麻黄湯にはエフェドリンの成分が含まれており、
もともと血圧の高い高齢者や、不眠症で睡眠剤を服用している高齢者に
麻黄湯を処方すると血圧上昇をきたして眠りにくくなってしまうことがある。
このようなケースには麻黄湯から麻黄・杏仁を抜いて、
芍薬・大棗・生姜を加えた「桂枝湯」が望ましい。


3つ目は「飲み過ぎると胃腸が悪くなること」である
麻黄湯が良いからと言ってたくさん飲み過ぎると、
さすがに胃もたれなどの症状が出現するので注意が必要である。


麻黄湯使用時のポイント
高熱があるものの
元気で汗をかいていない人
麻黄湯は汗を出すことが重要
・ 汗をかいている人は使用しない
・ 寝る前には使用しない(血圧上昇)
・ 飲み過ぎると胃腸が悪くなる