辛夷清肺湯

私の漢方診療日誌
慢性副鼻腔炎〜小児への処方例 炎症や熱を除く辛夷清肺湯に軍配
大阪大学大学院医学系研究科 漢方医学寄附講座 岸田友紀先生
http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/134/rensai.htm



8歳の男児
小さい頃から、風邪をひくと必ず副鼻腔炎になる。
早めに耳鼻科に行くようにしているので、中耳炎にはならずにすんでいるが
副鼻腔炎の治療に長期間かかる上、治ったと思ったら
また風邪→副鼻腔炎を繰り返しているのだという。


ツムラ104 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)5gを1日2回に分けるよう指示した。
1週後再診。
鼻づまりが解消されてきたようで、朝起きた時の鼻声がなくなってきたようだという。
さらに2週間続けた。
すっかり治り、耳鼻科でも治癒判定をもらったということだった。


◇まとめ
辛夷清肺湯は、鼻閉に効果のある辛夷が主薬となった処方で原典である外科正宗でも
鼻腔や副鼻腔に及んだ炎症性病変に効果があることが示唆されている。
多くの臨床研究をみると、辛夷清肺湯はクラリスロマイシンの低用量療法で
長引いている小児の慢性副鼻腔炎にもよく効くようである。


辛夷清肺湯の構成生薬は
鼻閉を改善させる辛夷
清熱作用をもつ黄芩・石膏・知母
鎮咳作用をもつ麦門冬・百合・枇杷葉、充血を解消させる山梔子
発汗して熱を除く升麻である。
総じて、炎症や熱を除く処方である。


私は、副鼻腔炎を合併していた男性更年期の人に
この辛夷清肺湯を使い、副鼻腔炎のみならず
長年苦しんでいた頭に限定する発汗とほてりが軽減して、喜ばれた経験がある。
生薬構成からして、自明の理だが、本当にこの処方は冷えるようである。