ロシア、禁煙規制

たばこ王国ロシア、禁煙規制を実施へ JTへの影響も
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_531850



ロシア政府がついに大手たばこ会社に対して断固たる態度で臨もうとしている。
世界第2のたばこ市場であるロシアで、厳しいたばこの規制法を議会で通すことを目指している。


◆世界第2位のたばこ市場ロシア
シュワロフ第1副首相の報道官は
「準備は整った。これは厳しい措置になるだろうが、絶対に必要なものだ。
時間はかかる。おそらく次世代まで時間がかかるかもしれない。しかし
喫煙を打ち負かし、健康的なライフスタイルの促進に成功するだろう」と強調した。


たばこ広告への規制やレストランでの禁煙といった
欧米諸国でみられる喫煙への制限をロシア全土で実施するための法案が
11月1日に国会に提出されることが予定されている。来年初めに採決される予定だ。


ロシアでは、もう一つの反たばこ政策である、2015年までにたばこの物品税を
135%近くまで引き上げる案はすでに議会の委員会を通過している。


この政府の取り組みは
ロシア市場を牛耳る世界4大たばこ会社への果敢な挑戦を意味する。
西側での基盤を失ったたばこ業界にとってロシアは最後に残されたとりでの一つで
フィリップ・モリス・インターナショナルやブリティッシュ・アメリカン・タバコなど
の世界のたばこ大手にとって貴重な収益源となっている。


◆ロシア国民の40%近くが喫煙。1人当たりの喫煙本数は世界ダントツ
ロシアでのたばこ価格は1箱1ドル(79円)強で
レストランやバーではたばこの煙がまん延している。
国民の40%近く、そして、男性の60%が喫煙者であり
このため立法化は大胆な措置を導入することになる。
同国の喫煙者4400万人の半分は、1日に1箱かそれ以上を吸っている。
ロシア全体の年間たばこ消費量は3900億本に上り、中国に次いで世界第2位。
人口がロシアの倍で、喫煙者の数がほぼ同数の米国を20%も上回る。


元喫煙者で、この厳しい反たばこ法案の成立を支援するフョードロフ農相は
「この危険な生活習慣を取り除く必要がある」と語った。
プーチン氏は2010年に、喫煙率を15年までに10〜15%減らす立法措置を命じた。
しかし、アナリストによると、他の国での似た事例では、最初の年の減少幅は
わずか3〜5%で、その後は横ばいにとどまっているという。


いずれにしても、世界のたばこ大手が
戦うことなく、黙って引っ込むことはないだろう。


ロシア議会保健委員会のカラシニコフ委員長は
「ロビー活動はすさまじい」と言い、「非常に強い圧力を感じている。
たばこ業界のロビー活動は非常にうまく組織されている」と指摘した。


カラシニコフ委員長は、スポーツを愛し、非喫煙者プーチン氏の影響力が
多大なことから、法案は最終的に議会を通過するだろうと述べた。


ロシアはこれまでずっと、喫煙率の高さに対処することに消極的だった。
旧ソ連が崩壊間近だった1990年代には、たばこ不足が原因で全土で暴動が起きた。
しかし、保健当局者は、国民の医療コストの増加はもはや無視できないとしている。
同当局者によると、同国では喫煙が原因で毎年約40万人が死亡し
医療費と失われた生産額は合わせて1兆5000億ルーブル(3兆8000億円)に上る。


流れは、プーチン氏が世界保健機関(WHO)の
たばこの規制に関する枠組み条約に調印した08年に変わり始めた。
同条約によってロシアは15年までに厳しいたばこ規制を導入しなければならなくなった。


法案が通ればたばこの広告は直ちに違法となる。15年までには売店での販売が禁じられ
レストラン、ホテル、カフェでの喫煙ができなくなる。
たばこのパッケージには健康への害を警告する図などが記載されることになる。