β遮断薬の特徴

交感神経遮断薬−β遮断薬(1)
β遮断薬の特徴
笹嶋勝「クスリの鉄則」



■β選択性
○β1受容体遮断による作用
心拍数減少作用や心臓の収縮力抑制作用などがあります。


○β2受容体遮断による作用
気管支平滑筋収縮作用、末梢血管壁収縮作用などがあります。
代謝に対しては、β2受容体が持つインスリン分泌促進作用
代謝促進作用、筋や肝臓におけるグリコーゲン分解促進作用などを抑制します。


また、β2受容体が関与するといわれる腸管循環血液量を下げる作用や
骨格筋のβ2受容体が刺激されて起こると推察されている
指先の振戦を抑える作用があります。


■内因性交感神経刺激作用(ISA)
β遮断薬の中には、β受容体を遮断するのが主作用でありながら
弱いβ受容体刺激作用を持つ薬剤があります。その作用がISAと呼ばれています。
疾患の状態によって、ISAを持つ薬剤と持たない薬剤の使い分けが必要となります。


○ISA(+)の薬剤
心拍数減少作用や心収縮力抑制作用が少ない、末梢血管収縮作用が弱い
代謝に対する影響が小さいという特徴があります。


○ISA(−)の薬剤
心拍数減少作用が強いという特徴があります。


脂溶性・水溶性の特徴
β遮断薬は、薬剤によって脂溶性から水溶性まで幅が広く
それぞれの薬剤で代謝・排泄に特徴があります。
臓器障害を持つ患者への調剤時には、この代謝・排泄を把握して
処方内容を十分吟味する必要があります。