骨粗鬆症予防

60歳、女性。骨粗鬆症予防の指導
今井直彦氏(聖マリアンナ医科大学病院腎臓高血圧内科助教
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/quiz_eng/201209/526825.html


60歳の女性が健診のため来院した。
妊娠4回、出産4回を経験しており、5年前に閉経している。
身長160cmで体重75kgである。
週に3回、30分ずつ運動をしており、1日1箱喫煙。
低蛋白食を食べている。骨粗鬆症を心配し、予防方法を知りたがっている。


Q. この患者の骨粗鬆症のリスクを高めると考えられるものはどれか。
(1) 運動
(2) 肥満
(3) 喫煙
(4) 多産
(5) 低蛋白食





解答
(3) 喫煙


解説
骨粗鬆症は骨量減少と骨質の劣化により
骨折しやすくなる状態であり、治療の最終目的は骨折予防となる。
骨粗鬆症の危険因子としては
閉経、加齢、女性、痩せ型、家族歴、現在の喫煙などが挙げられる。
骨量測定で骨密度が
YAM(Young Adult Mean、20〜44歳の平均値)に対して
70%未満の場合は薬物治療を開始する。
ただし、骨量の減少が骨量減少領域(骨密度がYAMの70〜80%)であっても
過度のアルコール摂取、喫煙、大腿骨頸部骨折の家族歴があれば薬物治療の対象となる。


本症例の場合は骨密度や家族歴は示されていないため
加齢と性別のリスクがある閉経後の女性に対する指導を考える。
日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団が合同で作成したガイドラインでは
骨量の維持のために
(1)標準体重の維持
(2)食事・栄養摂取の適正化
(3)運動習慣・活発な身体活動についての指導などが重要であると記している。
なお、低蛋白食、肥満、多産、運動は骨粗鬆症の防御因子である。