吸入ステロイドによる成長の減速

吸入ステロイドによる成長の減速は埋め合わせされない
米研究,成人後の身長が約1.2cm低い
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1209/1209013.html



喘息患児への吸入ステロイド薬(ICS)投与が
思春期における成長のペースを減速させることは1990年代から指摘されており
ICS投与開始1〜4年後で見られる身長への影響は一過性のものと推測されていた。


しかし,米ニューメキシコ大学保健科学センターのWilliam Kelly氏は
「小児期にブデソニド400μg/日を吸入していた群では
プラセボ群より成人後の身長が約1.2cm有意に低く、投与開始から約2年で
生じる身長差がそのまま成人後も維持されることが明らかになった」と報告。


「小児期における身長への影響は,その後消えもしなければ,増幅されることもない
というのが今回の結論だ」と指摘した(N Engl J Med 2012年9月3日オンライン版)。


思春期におけるICS使用と関連した治療開始初期の身長の伸びの抑制は成人後の身長に
そのまま反映されるとはいえ,このわずかな成長抑制は進行性のものではない。
NHLBI所長のGary H. Gibbons氏は
「今回の研究結果は注目に値するものではあるが、ICSが小児喘息患者における
コントロールの改善や増悪の予防につながるというベネフィットを忘れてはならず
より広いコンテクストの中で冷静に受け止めるべき」とコメントしている。