ニゾラール

ニキビ患者に処方された抗真菌剤
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 6

日経DIクイズ 服薬指導・実践篇 6


◆Question

17歳女性
ニキビがなかなかよくならないので
今日からもう1種類、塗り薬が増えることになりました。
この新しい塗り薬はどのようなお薬なのですか。
他のお薬とどのように効きめが違うのか教えてください。


ミノマイシン錠100mg 1錠 朝食後 14日分
ハイボン錠20mg 2錠 朝夕食後 14日分
ピドキサール錠20mg 2錠 朝夕食後 14日分
イオウ・カンフルローション 100mL 1日2回 患部に塗布
ダラシンTゲル1% 20g 1日2回 患部に塗布
ニゾラールクリーム 20g 1日2回 患部に塗布


*今回から、ニゾラールクリーム(ケトコナゾール)が追加された。
ニゾラールクリームは、どのような目的で追加処方されたと考えられるか。

◆服薬指導

イオウ・カンフルローションは、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを解消するお薬です。
ダラシンTゲルというお薬は、抗生物質の塗り薬です。
ニキビの中には、アクネ菌という細菌がいて
この菌が起こす炎症でニキビが赤くなったり、腫れたりします。
ミノマイシン錠も抗生物質なのですが
抗生物質を体の中と外の両方から使うことで、アクネ菌を効率よく減らします。
残りの 飲み薬は、皮膚の脂分と関係があるビタミンB2とB6のお薬です。
ニゾラールは真菌というカビの一種を退治するお薬です。
なかなか治らないニキビでは、真菌が毛穴に入って炎症を起こしている場合が
ありますので、先生はその可能性があると考えてこのお薬をお使いになったのだと思います。

◆解説

表在性真菌症の治療のため。マラセチア毛包炎の合併を疑ったものと推測される。


ニキビは、尋常性ざ瘡と呼ばれる。毛包漏斗部が角化異常によって閉塞すると、皮脂が滞留し、面皰(めんぽう)が形成される。面皰内では、毛包常在菌の一種で、好脂性のPropionibacterium acnes(P. acnes、アクネ菌)が増殖する。塩酸ミノサイクリン(商品名:ミノマイシンほか)などのテトラサイクリン系抗生物質は、他の抗菌剤に比べて毛包内への集積が良好とされる。また同剤には、好中球の遊走を阻害して炎症を抑制する作用や、P. acnesが産生する細菌性リパーゼの活性を阻害する作用があり、ニキビ治療に有用性が高い。同様に抗菌作用と抗炎症作用を期待して、マクロライド系抗生物質が使用されることもある。ケトコナゾール(商品名:ニゾラール)も、難治性のざ瘡の治療に使用されることがある。真菌の一種であるMalassezia furfurの感染によるマラセチア毛包炎を伴うケースがあるためである。マラセチアは、P. acnesと同様に好脂性で皮膚に常在し、癜風や脂漏性皮膚炎の原因菌として知られている。