ベピオとゼビアックスの同時塗布

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/diquiz/202002/564262.html?n_cid=nbpnmo_mled

尋常性ざ瘡（にきび）の治療で通院している22歳の女性

片方の薬は朝、もう片方は夜塗るように言われています。
ただ、朝は忘れやすいので、両方とも夜に塗っては駄目ですか。
それと、にきびがなくなったら、塗るのをやめてもいいんですよね。

処方箋

（1）ベピオゲル2.5％　15g　（一般名：過酸化ベンゾイル）
　　1日1回　夜、洗顔後　患部（顔面）に塗布

（2）ゼビアックスローション2％　10g　（一般名：オゼノキサシン）
　　1日1回　朝、洗顔後　患部（顔面）に塗布

（3）【般】ヘパリン類似物質外用液0.3％　50g
　　1日2回　朝夜、洗顔後　患部（顔面）に塗布

Q1 ベピオとゼビアックスを同時に塗布してはいけない理由は？
Q2 ベピオの使用方法として正しいものは？
（1）患部を中心に「面」で塗布する
（2）患部のみに「点」で塗布する
（3）症状軽快後もしばらく塗布を継続する
（4）症状軽快後はすぐに使用を中止する

こんな服薬指導を

2つのお薬を一緒に塗ることは、
ゼビアックスローションが黄色に変色してしまう可能性があるので、お勧めできません。
これまで通り、朝と夜に分けて塗ってください。
また、にきびが改善したからといってすぐにお薬をやめてしまうと、
目に見えない毛穴の詰まり、つまりにきびのもとが残ってしまい、再発につながります。
先生から中止の指示があるまで、しっかり塗ってください。
朝に塗るゼビアックスは、にきびのみに塗り、
夜に塗るベピオは目の周りや唇などを避けて、
にきびを中心に塗り広げるようにしてください。
乾燥しやすいので、保湿も続けてくださいね。

答え
A1 　変色するため
A2 （1）患部を中心に「面」で塗布する
　（3）症状軽快後もしばらく塗布を継続する

　尋常性ざ瘡は毛包脂腺系の慢性炎症性疾患である。いわゆる「毛穴」に当たる毛漏斗部が、上皮の過角化などで閉塞したり、皮脂の分泌が亢進するなどして毛包内に皮脂が貯留すると面皰（めんぽう、コメド）となり、さらにアクネ菌（P.acnes）などの増殖が進むと炎症性の皮疹へと進展する。

　日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」では、治療期間を急性炎症期と寛解維持期に分け、それぞれに推奨される治療を行うこととされている。

　炎症性皮疹に対して、以前は内服または外用の抗菌薬が長期に使われることもあったが、長期使用時の薬剤耐性菌の出現が懸念されていた。しかし最近では、急性炎症期には原則3カ月間、アダパレン（商品名ディフェリン他）、過酸化ベンゾイル（ベピオ）、デュアック（一般名クリンダマイシンリン酸エステル水和物・過酸化ベンゾイル）、内服・外用抗菌薬などを、重症度に応じて単剤使用または併用することが推奨されている。炎症軽快後の寛解維持期には、アダパレンまたは過酸化ベンゾイルの単剤、あるいは両者を配合したエピデュオの使用が推奨される。

　処方されたベピオは、有効成分である過酸化ベンゾイル（BPO）が分解されることで生じるフリーラジカルにより、抗菌作用と角層剥離作用を発揮する。一方、ゼビアックスは、キノロン系抗菌薬のオゼノキサシンを有効成分とする外用薬である。表在性皮膚感染症の病態に関与するアクネ菌、表皮ブドウ球菌（S.epidermidis）、MRSAを含む黄色ブドウ球菌（S.aureus）などに抗菌作用を示す。

　ベピオとゼビアックスはともに1日1回、洗顔後に患部に塗布する外用薬であるが、これらを重ねて塗布した場合、ゼビアックスが黄色～褐色に変色する場合があるため、混合や同時塗布は避ける。詳細は不明だが、製薬会社の配合変化資料によると、オゼノキサシンのpH（約10.5）が、酸化剤であるBPOと混ざることにより、塩基性から中性に変化するためと推察される。また、BPO塗布後は日光に当てないようにする必要があるため、ベピオは夜に、ゼビアックスは朝に塗布する。

　Kさんは治療により症状の改善を感じており、急性炎症期から寛解維持期に移行しつつあるとみられる。外用薬の塗布をいつまで続けるかについては、ゼビアックスは耐性菌出現を避けるため、炎症性皮疹が消失した時点で中止することが多い。一方、ベピオは、炎症性皮疹の前段階である面皰にも効果を示すとされ、炎症の赤味が引いた後も一定期間は塗布するよう、医師が指示する可能性が高い。

　患者には、適切な塗布方法を確認し、医師から中止の指示があるまで使い続けること、また、ベピオによる乾燥に注意し、保湿に努めるよう指導する。

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