保安院

原発を取り巻く官僚組織 保安院経産省の植民地
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110404/plt1104041540001-n1.htm
  元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一



原子力安全・保安院の法令上の位置付けは
経産省資源エネルギー庁の特別の機関とされ
その仕事は原子力に関する規制と安全確保である。
職員数は600人程度。ところが、保安院の実態は経産省の植民地だ。


今の院長は、前職は商務流通審議官であり、三越伊勢丹といった百貨店担当だった。
保安院のトップは事務系官僚であり、原子力で専門でない素人だ。


保安院の陰に隠れて存在感がないが、原子力安全委員会というのもある。
これは、内閣府に置かれた審議会であり、原子力安全の確保のための規制を担当している。


同委員会は5人であるが、それを支える事務局は100人程度の職員がいる。
委員は学者や技術者であり、専門性がある。
また、事務局も旧科学技術庁出身者ばかりで、大学で原子力工学を専攻していた人が多い。


もっとも、安全委員会と保安院との関係については、保安院が規制官庁であり
現実に東電の原発に対する安全指導などを行う。
これに対して原子力安全委員会は、業者を直接規制することはなく
規制官庁に内閣総理大臣を通じて勧告するだけだ。


これをダブルチェック態勢というが
専門性のある原子力安全委員会が規制当局になっておらず
世界的に見ればかなり奇異な安全管理態勢だ。


しかも、保安院の上部組織である資源エネルギー庁長官をしていた石田徹氏が
退官後4カ月もたたない今年1月に東電の顧問に天下ったばかりで
規制当局と規制される東電との関係はもたれ合いだ。


東電が経産省から天下りを受け入れるのは
保安院に規制の手加減をしてもらいたいからと思われても仕方ないだろう。