東京電力

東電どうなるの?
http://mainichi.jp/opinion/news/20120510ddm002070076000c.html



なるほドリ 
枝野経済産業相が、東京電力の総合特別事業計画を認定したって聞いたけど、どういうこと?


記者
東電は、福島第1原発事故で巨額の損害賠償を迫られていて
国の資金支援なしには経営が立ちゆかない状態です。
支援を得るためには、被災者への賠償を早くきちんと行うことや
経営合理化することなどを書き込んだ計画を作り、認定してもらう必要がありました。
東電は「特別事業計画」の認定を得たことで、国の支援を受けられるようになりました。

Q 東電はどうなるの?

A 特別事業計画には、財務基盤の強化策や収支計画のほか
組織体制も含めた抜本的な改革案が盛り込まれています。
例えば、国は原子力損害賠償支援機構を通じ
1兆円の税金を東電に投じて株式を買い取り資金繰りを支えます。
代わりに株主総会で50%超の議決権を取得して、東電を「実質国有化」します。
政府は東電を徹底的に改革するつもりのようです。

Q うまくいくのかな?

A 東電の企業体質を変えるための改革はすでに始まっています。
不必要な不動産を売却したり、社員の待遇を引き下げたりしてコスト削減も進みつつあります。
ただ、経営の立て直しは容易ではありません。
事業計画には、7月から3年間、家庭向け電気料金を10・28%値上げすることや
13年4月に柏崎刈羽原発を再稼働させることが明記されています。
料金値上げは国民の反発が強く、計画通りに実施できるか分かりません。
原発再稼働も地元首長らの間で慎重論が根強い上
安全確認の手続きも定まらず、いつ再稼働できるか分からない状態です。

Q 政府の立場がよく分からないんだけど。

A 政府は資本注入だけでなく、賠償支援のため
少なくとも2・5兆円を税金で立て替えることになります。
国民の税金を早く回収するためには「筆頭株主」として
東電にもうけてもらう必要があるわけですが、一方で
東電がもうけるためには原発再稼働か電気料金の値上げが必要です。
政府も難しいかじ取りを迫られることになります。

Q 経営トップは大変だね。

A 政府は、6月以降の会長に弁護士出身で支援機構運営委員長の
下河辺(しもこうべ)氏を選任し、社長に広瀬常務を内部昇格させることを決めました。
新しい経営体制で改革が進むのかは、下河辺・広瀬両氏の協調が鍵を握りそうです。