蕁麻疹 ×  ピロリ


http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

◆Question

慢性蕁麻疹で皮膚科に通院している患者


先生からは「ピロリ菌を退治する薬を追加します」と言われました。
以前から胃の調子が良くなくて、検査をしたらピロリ菌が見つかったそうです。
その時先生が「ピロリ菌を退治すると蕁麻疹の方も良くなるかもしれない」
と言っていたのですが、どういうことでしょうか。


処方箋

タケプロンカプセル30 2カプセル
クラリシッド錠200mg 4錠
サワシリンカプセル(250mg) 6カプセル
  1日2回 朝夕食後服用 7日分


◆Anser

最近、蕁麻疹がなかなか治らない患者さんでピロリ菌を退治すると
蕁麻疹がよくなる場合があることがわかってきました。
なぜ蕁麻疹がよくなるのかはよくわかっていませんが
ピロリ菌を退治できれば、かゆみが弱くなったり
蕁麻疹のお薬の量を減らすことができると言われています。

◆解説

難治性蕁麻疹に対する治療法として最近注目されているのがピロリ除菌療法である。
H.ピロリと蕁麻疹は一見何の関わりもなさそうに思えるが
消化性潰瘍に難治性蕁麻疹を合併した患者において
除菌療法後に蕁麻疹も改善したという症例が諸外国で報告されている。
わが国でも、H.ピロリ陽性の難治性蕁麻疹患者14人に除菌療法を行い
うち4人(28.6%)は膨疹が消褪し、4人(28.6%)はかゆみが軽減し
抗ヒスタミン剤等の使用量が減少するなど、症状が軽減したことが報告されている。
もっとも、今のところ、どの報告も症例数が少なく除菌療法の奏功率にばらつきがあるため
H.ピロリがどの程度蕁麻疹の発症に影響しているのかはよくわかっていない。
またH.ピロリが蕁麻疹を起こす機序も不明であるが、現在のところ
(1)胃粘膜における慢性の免疫刺激状態が皮膚局所や全身の免疫反応を誘導する
(2)H.ピロリ感染で胃粘膜バリアが障害され
食物等に含まれるアレルゲンが血中に移行しやすくなる――
といったメカニズムが考えられている。