「リリカを飲んだらふらついた」と相談された

「リリカを飲んだらふらついた」と相談された
日経DI プレミアム版20年12月号コラム「薬局なんでも相談室」より
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/back/202101/568564.html

【相談】
プレガバリンを処方された患者から
「ふらついて転びそうになった」と相談されることが度々あります。
自己中断してしまう患者もおり、どのように服薬指導すればよいですか
(20代、薬局薬剤師)

【回答】
1~2週間で症状はほぼ治まると説明
さらに続くようなら医師に相談を

【回答者】
名古屋大学 整形外科学 教授 今釜 史郎先生

プレガバリンは、
神経系に存在するカルシウム(Ca)チャネルのα2δサブユニットに結合し、
神経細胞内へのCa流入を抑制して神経伝達物質の放出を抑制する
「Caチャネルα2δリガンド」として知られています。
中枢神経系に疼痛信号が伝わることを妨げて痛みを緩和するため、
神経症状を伴う腰痛に用いられます。

神経障害性疼痛または末梢性神経障害性疼痛に適応のあるCaチャネルα2δリガンドには、
プレガバリンの他にミロガバリン(タリージェ)があります。
治療開始時には必ず、めまいやふらつきが生じることを説明しますが、
不安になる患者もいることでしょう。

プレガバリンなどは少量から投与を開始し、体調を見ながら増量していく方法を取るため、
なるべく内服治療を継続してもらうことが重要です。
めまいやふらつきといった症状は、多くが開始から1~2週間で軽減し、
治まることが分かっていますので、少しの期間は付き合う必要があることを説明し、
服用の継続に向けたサポートをお願いします。

服薬指導の際は、車の運転を控えてもらうこと、
活発に外出する患者には転倒リスクが高い外出を控えてもらうことなども強調するとよいでしょう。
特に高齢者は、転倒して骨折すると寝たきりに至る可能性があるので要注意です。

患者によっては、プレガバリンとミロガバリンのどちらかで副作用が軽く済む場合もあるため、
一方を2週間投与して副作用が改善しない場合、薬剤の変更を考慮することがあります。

私は、プレガバリンについては1日1回25~50mg、
ミロガバリンは1日1回5~10mgから治療を開始することが多いです。
服用時点はめまい等を意識せずに済むよう夕食後とし、
徐々に朝夕2回服用としたり、増量を考慮したりします。
副作用の相談を受けた患者の処方箋に「朝食後服用」と書かれていた場合、
医師に確認した上で、夕食後に飲むよう勧めてもよいかもしれません。

同様に、SNRIのデュロキセチン(サインバルタ)も
眠気の副作用が知られており、添付文書には朝食後と書かれていますが、
眠気の副作用がある患者には夕食後や就寝前服用とすることがあります。