iPS細胞:パーキンソン病臨床へ

iPS細胞:パーキンソン病臨床へ 京大が手法確立
http://mainichi.jp/select/news/20140307k0000m040113000c.html



京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授(神経再生医学)らの研究グループは6日、
ヒトのiPS細胞を使った
パーキンソン病治療の臨床研究に向けた手法を確立したと発表した。


パーキンソン病
神経伝達物質ドーパミン神経細胞が減ることで、
手足が震えたり、こわ張ったりする難病。
投薬で症状を抑えられるが、根本治療にはならない。
神経細胞の一歩手前の「神経前駆細胞」を脳内に移植し、
新たな神経回路を作る治療法が期待されている。


研究グループによると、
iPS細胞から神経前駆細胞に分化させる際、
培養皿の底に敷く基質に特定の人工たんぱく質(ラミニン)を使うと、
従来の20倍以上の量が培養できることを発見した。


一方、培養した細胞の中に
分化が不十分なiPS細胞が残っていると、がん化する恐れがある。


グループは、特定の蛍光抗体を使って染色する方法で、
培養した細胞から神経前駆細胞を選別し、
未分化など不要な細胞を除去する手法を確立した。


選別後の神経前駆細胞を、パーキンソン病を発症させたラットの脳に移植し、
4カ月間観察したところ、症状が改善し、がん化も起きないことを確認した。


高橋教授は
「今年中に同じ手法でサルに移植して、安全性と有効性を詳細に検証する」と話している。
グループは今後、京大病院と連携。
6人の患者の血液細胞からiPS細胞を作製し、
1人ずつ数千万個の神経前駆細胞に分化させて
患者本人に移植する臨床研究に向けた準備を進める。


【ことば】パーキンソン病
手足の震えや筋肉のこわ張りなどの症状が出る進行性の神経難病で、
主に50代以降に発症し、国内の患者は約14万人とされる。
患者の脳内でドーパミンを作る神経細胞が減少することが原因として知られているが、
カニズムは不明。


薬で症状を改善できても、神経細胞の減少は食い止められない。
タレントの永六輔さん、米俳優のマイケル・J・フォックスさんらも患者。