株価の物差し

株の銘柄選び、物差しは資産価値や成長性
http://www.nikkei.com/money/investment/mandi.aspx?g=DGXZZO3958467014032012000000





運用会社のビバーチェ・キャピタル・マネジメントの
三井郁男運用部長が注目するのは「PBR(株価純資産倍率)が低い銘柄」だ。

株価純資産倍率[ price book-value ratio ; PBR ]
通称PBR。株価を1株当たりの純資産(簿価による株主持ち分)で割ったもの。
株価が1株当たり純資産、すなわち株主持ち分を上回っている部分は
その会社の潜在的プレミアムと考えることができる。
通常この指標は株価収益率と組み合わせて使用されるが
これは株価純資産倍率がその会社をストック面から見ているのに対して
株価収益率はフロー面から見ていて、2つの指標がそれぞれ補完関係にあるため。
金融危機後の株価低迷相場では、PBRの1倍を割る有力企業が相次いだ。



PBRは企業が持つ資産の価値に着目した指標で
株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを示す。
会社が解散して保有資産を株主に返した場合
理論上は受け取れる資産配分額と株価が等しいと1倍となる。
PBRが1倍を下回れば、株価は会社の解散価値より評価が低いということになる。


13日の時点で東証1部全体のPBRの平均は1倍強。
1月以降、トヨタ自動車pc;sv=NXや三菱商事などの主力株が相次ぎ1倍を回復したが
上場銘柄の約6割は依然1倍を割り込む。今後は出遅れ銘柄の修正が進むとの声は多い。


ただ、業績低迷などで資産の価値が目減りする懸念があるために
株価が安いことも考えられる。そこでプロの投資家は
「財務の健全性を示す自己資本比率が50%以上で、過去3年間にわたり純利益が黒字」
などの条件を設けている。今期は震災の影響で赤字になる企業も多く
「リストラによるコスト構造の転換や収益環境の改善で
今後の黒字転換が見込める企業は有望」(三井氏)との指摘もある。


株価水準を判断するもう一つの代表的な指標がPER(株価収益率)だ。

PER[ price earnings ratio ]
株価収益率。株価がその株式会社の1株当たり利益の何倍になっているかを示す指標。
市場全体の平均値を使って、全体の相場水準を見る指標としても重視されている。
何倍が妥当かという絶対的水準はないが、その会社の成長力、競争会社との比較
過去の水準との比較などから、株価水準を判断するうえでの重要な指標。
例えば、業種平均と比べて高ければ同業他社より割高、低ければ割安、というような使い方をする。



株価を1株利益で割って計算し、倍率が高ければ株価は割高、低ければ割安とされる。
算出のベースとなるのは今期の予想利益。だが、
「株価はおよそ5年先までの成長性を織り込む傾向がある」
マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト)といい
将来の成長期待によって、PERの水準は変わってくる。
企業の成長性や経営効率を見極めるうえで
海外投資家などが重視するのが自己資本利益率(ROE)の高さ。

ROE[ return on equity ]
自己資本利益率。税引利益を自己資本で割って算出する。
自己資本は一般に期首、期末の平均をとる。
企業は株主が払い込んだ資本金などの自己(株主)資本と
借入金などの他人資本を使って事業活動をする。
この指標は株主資本をいかに効率的に使って収益を上げたかを示す。
この利益率が高ければ、その分、1株の利益が高まっているわけで
株価を押し上げる要因になる。
株主資本の運用効率を示す代表的な指標で、特に海外投資家が重視している。



経営資源をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示し
純利益を自己資本で割って算出する。
「ROEが高いほど、将来の企業価値を高める力がある」(広木氏)といえ
収益や資産の増加に期待した買いでPERやPBRは高くなる傾向がある。


株式の配当をもとに銘柄を選ぶ方法もある。
高配当銘柄を探すのに使うのが
投資額に対し年間で何%の配当を受け取れるかを示す配当利回りだ。

配当利回り[ dividend yield ]
配当収入が投資額に対してどの程度の割合かを表す指標。
1株当たりの年間配当金を株価で割って算出する。
例えば、株価が1000円の銘柄で1株当たりの年間配当が10円の場合、配当利回りは1%となる。
預貯金など他の金融商品と直接に収益率を比較できる特徴があり
金利が長期化する中で指標として注目を集めている。
前期の配当で算出する実績配当利回りと、今期の予想配当を用いる
予想配当利回りがあるが、予想配当利回りを使うのが一般的。



ただ配当水準が高くても、財務が脆弱だったり業績が悪化したりしている場合は
減配リスクもある。自己資本比率や業績動向などと組み合わせて使う必要がある。
日本経済新聞朝刊2012年3月14日付]


PERとは
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PBRとは
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