葉タバコ畑を生薬畑に

知っ得ワード
漢方薬(6) 生薬「甘草」も資源争奪戦 :日本経済新聞



日本は漢方薬の原料となる生薬の8割以上を中国から輸入していますが
最近、入手が困難で大きな問題になっています。
中国の経済発展による国内需要の伸びに加え
伝統医学のグローバル化で欧米も生薬を買い求めているからです。


日本漢方生薬製剤協会の調査によって、2010年までの4年間の
平均輸入価格が約1.6倍になったことがわかりました。
「甘草」「麻黄」は中国の輸出規制対象です。
電子機器に使う「レアアース」に例える人もおり、資源争奪戦が起きています。


生薬が手に入りにくい現状を踏まえると
日本で生薬栽培を強化していくことが必要となります。
農家の高齢化や安い輸入品に押されて国内の自給率は約1割にまで低下しました。
一つの解決方法として、喫煙者の減少を受けて
葉タバコ畑を生薬畑に転換することが有効ではないかと考えています。


生薬価格が上昇しているにもかかわらず、国が定める薬価は
2年ごとの改定で工業製品と同様に下がっています。
生薬を栽培しても適正価格で売れないことは問題です。
日本の伝統医学をどう守っていくのか。しっかりとした議論が必要です。
(渡辺賢治先生・慶応義塾大学漢方医学センター診療部長)


甘草栽培