下痢止めの相互作用

医師のための薬の時間

この飲み合わせ大丈夫? 下痢止め効果は期待できるか?

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/doctors/series/drug/imedis/200607/501087.html



34歳の女性
<処方>
ロペミン  2 Cap 1 日 2 回 朝夕食後 3 日分
タンナルビン 2 g 1 日 3 回 毎食後 3 日分
アドソルビン 3 g 1 日 3 回 毎食後 5 日分


問題
(1) 同時併用を避けた方がよい薬剤の組み合わせは?
(2) その理由は?
(3) 本相互作用は服用時間をずらすことで回避できるか?
また、回避できるとしたら、どのように処方を変更すればよいか?


問題に対する解答
(1) ロペミンとアドソルビン、並びにタンナルビンとの同時併用を避ける必要がある。


(2) アドソルビン、タンナルビンにロペミンが吸着されてしまうため
ロペミンの止瀉剤としての作用が減弱する可能性がある。


(3) ロペミンと両薬剤との服用時間をずらすことで、相互作用の回避が可能である。
処方変更の例としては、ロペミンの服用タイミングを食間に変更する
または、アドソルビン、タンナルビンの服用タイミングを食間に変更する。


解説


天然ケイ酸アルミニウムは
胃・腸管内の有害物質や過剰の水分、粘液などを吸着して除去することによって
止瀉剤として使用されるが
併用薬剤の吸着をも引き起こして、吸収・排泄に影響を与えることが知られている。
したがって、塩酸ロペラミドと天然ケイ酸アルミニウムの相互作用のメカニズムとして
天然ケイ酸アルミニウムへの吸着によることが考えられる。


一方、タンニン酸アルブミンは腸で分解され
遊離したタンニン酸が腸管で緩和な収斂作用を示す薬剤である。
塩酸ロペラミドは弱塩基性薬物であり、腸内では解離型としても存在し
タンニン酸アルブミンから遊離したアルブミンがそれを吸着し
作用を減弱させた可能性がある。
あるいは、タンニン酸と難溶性の化合物を形成し
塩酸ロペラミドの作用を減弱させた可能性も考えられる。