高カカオチョコは腸内で善玉菌を増やす

高カカオチョコは腸内で善玉菌を増やす
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO08495950Y6A011C1000000?channel=DF130120166093



明治と帝京大学は共同で
「チョコレート摂取による腸内環境改善効果の探索的研究」を行い、
高カカオチョコレートの摂取が腸内フローラに与える影響を調べた。


■善玉菌の中でも大切なのは?
「善玉菌の中でも大切なのは、酢酸を産生するビフィズス菌と、
酪酸を産生するフィーカリバクテリウムや大便球菌。
これらは健康長寿に直結する菌で、私は“長寿菌”と呼んでいます」(辨野義己さん)


■カカオの健康成分はポリフェノールだけではない
続いて、明治と共同で高カカオチョコレートの研究をした
帝京大学理工学部バイオサイエンス学科の古賀仁一郎准教授が壇上に立ち、
「高カカオチョコレートの継続摂取による短鎖脂肪酸産生菌の増加」について話した。


45歳から69歳の347人に、
高カカオチョコレート(カカオ分72%)を1日25g、4週間食べてもらった。
その結果、脳の神経細胞の活動を促進するBDNF(脳由来神経栄養因子)の増加による
認知症予防の可能性、動脈硬化のリスク低減、血圧低下、HDLコレステロール値の上昇など
カカオに含まれるポリフェノールの機能性が確認された。
http://www.meiji.co.jp/chocohealthlife/news/research_final.html


さらに、多くの被験者から「便通が改善した」という意外な感想が寄せられたという。
「これはポリフェノールの作用では説明できない。
そこでカカオに含まれるたんぱく質、“カカオプロテイン”に着目したわけです」
と古賀准教授は説明する。


カカオプロテインは消化されにくいことで知られる。
人工消化試験にて牛乳に含まれるカゼインの消化率を100とすると、
大豆たんぱく質は51.2、カカオプロテインは33.3しかないという。つまり、
「食物繊維やオリゴ糖と同じく、小腸で消化吸収されずに大腸に到達するのです」
と古賀准教授。


■善玉菌を増やして便通を改善
そこで今回明治と帝京大学が共同で
「カカオプロテインの便通改善効果」を調べた
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2016/detail/20160929_01.html
対象は20歳以上50歳未満、排便回数が週4回以下(便秘気味)の女性たち。
15人にカカオが含まれないホワイトチョコレートを、
16人に高カカオチョコレート(カカオ分72%)を1日25gずつ、2週間食べ続けてもらった。
なお、どちらもカロリーの差はなく、試験期間中に体重の増減は見られなかったという。


するとホワイトチョコ群に比べて高カカオチョコレート群は
(1)排便回数が多くなった
(2)便の色が薄くなった
(3)便の量が増えた−−といった効果が確認された。


なぜ、こういった結果が得られたのか。
例えば食物繊維をとると便の量が増える。
しかし、推奨される食物繊維の量は1日約20gなのに対し、
25gの高カカオチョコレートに含まれるカカオプロテインは1g程度しかない。
食物繊維を合算しても1日推奨量には届かない。
「ならばオリゴ糖のように、
腸内の善玉菌のエサになって善玉菌の増殖を促進しているのではないかと考えました」
と古賀准教授。


その後、NGS法(菌のDNAを解読する最新技術)で被験者の腸内フローラを調べたところ、
高カカオ群の女性たちはフィーカリバクテリウムなど4種類の
短鎖脂肪酸産生菌が増えたことが分かった。


■短鎖脂肪酸が増えるとなぜいい?
なお、短鎖脂肪酸とは酢酸、酪酸、プロピオン酸などの脂肪酸のこと。
「フィーカリバクテリウムは、その中でも特に酪酸を大量に産生する菌。
長寿の人の腸内に多く存在することから、
ビフィズス菌、乳酸菌に続く善玉菌といわれています」と古賀准教授は話す。


腸内に酪酸などの短鎖脂肪酸が増えると、
ぜん動運動などの活発化による「便通改善」に加えて、
腐敗産物減少と粘膜上皮細胞の異常増殖抑制による「大腸がんの抑制」、
クローン病などの「炎症性腸疾患(IBD)の予防」、
インスリンの分泌促進による「糖尿病の予防」などが期待できるといわれている。


つまり、「高カカオチョコレートの継続摂取で、最近増えている大腸がん、
IBD、糖尿病のリスクを下げる可能性があるわけです」と古賀准教授は締めくくった。