TPPで生活どう変わる 肉やワイン、輸入品安く

TPPで生活どう変わる 肉やワイン、輸入品安く
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H7S_V01C15A0EA2000/



TPPが発効すれば、消費者の生活に広く恩恵が及びそうだ。
米国産の牛肉やコメが今より安く手に入ったり、
オーストラリアのワインをより手軽に楽しめたりするようになる。
海外の渡航先で通話料金が安くなる利点も期待できそうだ。
TPP参加国は日本にとってより身近な国になる。


牛肉は米国などからの関税を段階的に下げることが決まった。
現在の38.5%から1年目に27.5%になり、16年目には9%にする。


例えば輸入単価が1キログラム1900円の米国産サーロイン肉の場合、
初年度の関税は今より209円安くなる。
スーパーで売っている100グラム500円程度のサーロイン肉だと、
単純計算すると、1年目で4%安の480円程度に下がる可能性がある。
関税が9%になる16年目以降は、今より1割ほど店頭価格が下がる余地が出てくる。


日本マクドナルドサラ・カサノバ社長は
「関税の低減は悪いニュースではない」と輸入コスト削減に期待するが、
「原材料費や人件費、家賃などのコスト負担も重い」と値下げには慎重だ。
吉野家ホールディングスの河村泰貴社長も
「為替などの影響もあり即座に牛丼価格は下げられない」と話す。


豚肉は関税下げの効果が限定的だ。
高価格品は1キログラム524円の豚肉に22円かかっている関税が半額の11円になるが、
100グラムあたりの値下げ効果はわずか1.1円。
TPP域内からの輸入はもともと少なく、輸入を後押しする効果は小さい。


豪州などのワインは安く手に入るようになる。
現在は価格の15%か、1リットルあたり125円のいずれか低い方の関税がかかるが、
8年目になくなり、次第に安くなる見込み。
このほか小豆、鶏肉、オレンジジュースなどの関税も
撤廃されるので、安くなる可能性がある。


ここ数年、問題になっているバター不足もやわらぐ可能性がある。
国内需要は年7万〜8万トンだが、
酪農家が少なくなった影響で国内バター生産は年間6万トン台しかない。
国産品の家庭向け価格は過去最高値圏にあり、業務用も29年ぶりの高値を付けている。


TPPで日本はニュージーランドなどから初年度で
バターと脱脂粉乳それぞれ3千トン強の輸入枠を設ける。
国内酪農家の経営に打撃を与えるとの心配も食品業界に根強い一方、
「海外産品を安く調達できる可能性がある」(明治)。生乳換算で6万トンになる。


国が海外産品をまとめて輸入している小麦は、
事実上の関税である「輸入差益」を9年目までに45%削減する。
家庭で使う小麦粉が安くなったり、
パンやピザ、うどん、パスタが安くなったりする効果がありそうだ。


TPP参加国には行き来しやすくなる。
ビジネスマンの海外滞在に必要な査証(ビザ)の使い勝手もよくなる。
カナダやマレーシア、ペルーは滞在可能な期間を延ばす。
オーストラリアやメキシコなどはビザ取得者と配偶者が同じ期間滞在できるようにする。