うまいコメ、列島激戦 北海道・九州産からトップ3
http://www.asahi.com/business/update/1110/TKY201211100480.html
コメの勢力図が変わりつつある。
業界団体の食味検定で北海道産や九州産が上位に食い込む一方
米どころ・新潟や東北勢は苦戦。
消費者に受け入れてもらう「うまいコメ」をめざし、熱い闘いが繰り広げられている。
「ゆめぴりか」「元気つくし」。
2011年産のコメの食味検定で審査員たちをうならせたのは
「厄介道米(やっかいどうまい)」と揶揄されてきた北海道産と
09年に登場した福岡産だった。
審査したのは日本穀物検定協会の職員20人。
1971年産から毎年実施しているコメの格付け検定「食味ランキング」で
129銘柄がエントリーし、5段階評価で26銘柄が最高の「特A」とされた。
このうち、トップ3(順位は非公表)に入ったのが、ゆめぴりかと元気つくし。
木野部長は「美しさや粘り、味がずば抜けていた」と絶賛する。
道内産はこれまで「冷害に強く収穫量が多い品種」を優先してきたため
おいしさの点では本州から後れを取っていた。
そこで、道立上川農業試験場が12年かけて開発したのが、ゆめぴりかだった。
道内の品種を掛け合わせた「純北海道産」で、低たんぱくで粘りがあるのが特徴だ。
北海道農産振興課の木村主査は
「子供のころは、北海道のコメなんか食えるか、と言われていたが
やっとおいしいコメを作り出すことができた」と胸を張る。
11年産の検定では、別の1銘柄「ななつぼし」も特Aに入った。
元気つくしがトップ3に入った九州産。
以前は業界で「鳥も食べずにまたいで通る」と言われ
「鳥またぎ米」とからかわれたこともあった。
だが、様々な品種を掛け合わせ、猛暑に強い品種の開発を進めた。
こうした努力が実り、08年産以降は
長崎県・県南の「にこまる」、佐賀県の「さがびより」
熊本県・城北の「森のくまさん」が特A入りしている。
にこまるを誕生させた長崎県農林技術開発センターによると
炊きあがった時の白さやつや、粒の立ち上がりがいいという。
古賀主任研究員は「安定して特A入りしたい」とさらなる躍進を狙う。
日本穀物検定協会の木野部長は
「コメの品質が全体的によくなっている。伝統の新潟のコシヒカリも安泰ではない」と話す。
コシヒカリ系統では
奈良・県北の「ヒノヒカリ」がトップ3に入って面目を保ち
異常気象に強い品種として開発された山形の「つや姫」は
10年産から連続して特A入りしている。
一方で、宮城・県北の「ササニシキ」は95年産
有名ブランドの秋田の「あきたこまち」は
県北の09年産を最後にそれぞれ特Aに入っていない。