DMARDs

笹嶋勝「クスリの鉄則」



DMARDsでは腎機能検査を確認せよ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201102/518566.html


DMARDs=disease modifying anti-rheumatic drugs
具体的には、金製剤やオーラノフィンといった免疫調整薬と
メトトレキサートやタクロリムスなどの免疫抑制薬のことを指す。

薬剤性腎障害の特徴

抗リウマチ薬による腎障害には、大きく分けて2つの機序があります。


1つ目は、腎臓そのものに対し毒性を示す薬剤で
シクロスポリンやタクロリスムがこれに該当します。
これらの薬剤を使用する場合は、血中薬物濃度を測定して投与量を調節することで
副作用を予防しますが、相互作用の影響を受けやすい薬でもありますので
これら薬剤の血中濃度を上昇させる薬剤を併用する際には注意が必要です。


もう1つは、免疫学的機序により起こる腎障害です。
糸球体の膜性腎症を起こします。D-ペニシラミン(商品名メタルカプターゼ)や
ブシラミン(商品名リマチルほか)などが該当します。
これら薬剤使用例の5〜10%(報告によっては〜30%)に蛋白尿が出現し
うち30%でネフローゼが見られます。


D-ペニシラミンの場合、尿蛋白が、3〜6カ月で36%に、6カ月〜1年で40%に出現し
合計すると1年以内に76%で尿蛋白が出現した、とする報告があります。
中止後は1年程度で消失します。


類似の作用を持つブシラミンによる膜性腎症は、同薬の日本での使用量が多いこともあり
DMARDsによって生じた膜性腎症全体の60%を占めます。


ネフローゼになった場合には、ステロイドを投与することもあります。
実際、ブシラミン服用中の患者がステロイド中等量の処方に変更になったことがあり
患者に確認したところ、やはり「尿蛋白が出たので」とのことでした。


D-ペニシラミンとブシラミンは、投与前および投与中に最低月1回
蛋白尿等の検査を行うことが義務付けられています。
薬剤師としては、この検査が実施されているかどうか、十分確認せねばなりません。


ロベンザリット(商品名カルフェニール)は
上記の薬剤とは違って、尿細管の間質性腎障害を10〜30%に起こします。
投与1カ月後くらいから尿蛋白上昇を認めます。
休薬によっても腎障害が残存することがあります。