ACCORD

厳格な血糖管理で死亡率が上昇したACCORD試験
迅速なHbA1c低下を目指したアプローチが原因なのか?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200806/506749.html





HbA1c6.0%以下を目指す厳格な血糖値管理によって
心血管リスクが高い2型糖尿病患者の死亡率が上昇したとして
厳格管理群の試験を中止したACCORD試験。


ACCORD試験は、米国とカナダの77医療機関で行われた。
2型糖尿病HbA1cが7.5%以上、年齢40〜79歳で心血管疾患の患者
もしくはアテローム動脈硬化アルブミン尿症、左質肥大
または少なくとも2つ以上の心血管危険因子を保有脂質異常症、高血圧、現在の喫煙、肥満)
のいずれかが当てはまる55〜79歳の患者、計1万251人(平均年齢62.2歳)を登録。
ベースラインのHbA1cの中央値は8.1%。38%が女性で、35%が心血管イベントを経験していた。


厳格管理群(5128人)のHbA1c目標域は6.0%以下に設定。
標準管理群(5123人)は7.0〜7.9%を目標とした。


追跡期間の平均は3.5年だった。
厳格管理群および標準管理群ともに、割り付けから4カ月でHbA1c値は8.1%から大きく低下し
厳格管理群は6.7%、標準管理群では7.5%になった。
1年後にはHbA1cの中央値は、厳格管理群6.4%、標準管理群7.5%となり
それ以降このレベルが維持されていた。


低血糖の発生率、体重増加、体液貯留も、厳格管理群で高かった。
追跡期間中に医学的な介入が必要な低血糖は10.5%と3.5%に見られた。
両群共に、低血糖による死亡が1人ずついた。
3年間の体重増加はそれぞれ3.5kgと0.4kg、10kg超の体重増加は27.8%と14.1%だった。
両群間のLDL-c値には差はなく、血圧は厳格管理群で有意に低かった
同時点で、厳格管理群の257人が死亡、標準管理群では203人で全死因死亡が有意に増加していた。


予測した全死因死亡の発生率の差は、割り付け1年後には認められ
3年で顕著になり、6年後まで継続して見られた。


厳格な血糖管理3.5年間で
主要な心血管イベントリスクの有意な低下は見られず、死亡率が上昇した。


著者らは
「今回得られた結果は、心血管リスクが高い2型糖尿病患者に厳格な血糖管理がもたらす
これまで知られていなかった有害事象を明らかにした」と述べている。


また死亡率上昇の原因について
「迅速なHbA1c低下を目指して適用されたアプローチに起因するか
または、達成されたHbA1c値に起因する可能性がある」と述べている。
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa0802743v1