カナグリフロジン vs. シタグリプチン

SGLT2阻害薬canagliflozin vs. DPP-4阻害薬シタグリプチン
メトホルミン+SU薬への上乗せRCT
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1304/1304034.html



先日,米国で初めて承認された
ナトリウム/グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬canagliflozin。


オーストリア・ウィーン市立ルドルフシュティフトュング病院の
Guntram Schernthaner氏らは,メトホルミンとSU薬で血糖管理不良な
2型糖尿病患者を対象に,canagliflozinまたはシタグリプチンを上乗せ投与し
血糖改善効果を比べたhead to headのランダム化比較試験の結果を発表した
(Diabetes Care 2013年4月5日オンライン版)。
合わせて,血圧,体重変化,安全性に関するデータも提示した。

HbA1c 7.0〜10.5%以下の約750例を52週追跡

今回Schernthaner氏らが行った,
17カ国・140施設における国際多施設二重盲検第Ⅲ相RCTは,
メトホルミンとSU薬を併用している2型糖尿病患者を
シタグリプチン群またはcanagliflozin群にランダムに割り付け52週間追跡したもの。
対象は,18歳以上、メトホルミンおよびSU薬を安定的に投与中で
HbA1c 7.0〜10.5%以下などの条件を満たした756例。

HbA1c低下量でシタグリプチン群に対するcanagliflozin群の非劣性示す

解析の結果,1次評価項目としたベースラインから52週後にかけての
HbA1cの平均変化(最小二乗平均変化)は,
シタグリプチン群−0.66%,
canagliflozin群−1.03%で,
両群の差は−0.37%(95%CI −0.50〜−0.25%)となり,
95%CIの上限が事前設定した非劣性マージン0.3%未満であったことから,
シタグリプチン群に対しcanagliflozin群の非劣性が示された(図A)。


また、平均HbA1cについては
canagliflozin群のシタグリプチン群に対する優位性が認められた(図B)。

FPG,体重,収縮期血圧はcanagliflozin群で有意に減少

FPG,体重,血圧についても,ベースラインから52週の平均変化を評価した。
その結果,両群間の平均変化の差は
FPG(−26.5mg/dL),
体重(−2.4kg),
収縮期血圧(−5.9mmHg)で,シタグリプチン群に比べて,
いずれもcanagliflozin群で有意な減少が確認された(いずれもP<0.001)。

canagliflozin群で生殖器真菌感染症が増加

安全性についても解析したところ,低血糖を含む有害事象,
重篤な有害事象,有害事象による試験中止は両群で同等であった。
一方,これまでの試験でもSGLT2阻害薬による尿路感染症が報告されているが,
今回の試験ではシタグリプチン群21例,canagliflozin群15例と,
canagliflozin群でわずかに少なく,いずれの群でも重症例は認められなかった。


しかし,生殖器真菌感染症については,
canagliflozin群では男性の亀頭炎などが計19例(同1例),
女性の外陰膣炎などが計26例(シタグリプチン群では計7例)と
シタグリプチン群に比べて多かった。
また,頻尿症および多尿症の浸透圧利尿は
シタグリプチン群5例(多尿症は0例),canagliflozin群9例であった。