百日咳

幼い命を脅かす 百日せきの危険
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_0410.html?utm_int=news_contents_news-closeup_002



「百日せき」。
大人は軽いせき症状だけで気付かないこともありますが、
十分な免疫のない1歳未満の赤ちゃんがかかると
自力で呼吸ができなくなるなど、死に至ることもあります。
ただ、日本では戦後まもなく始まったワクチンの定期接種によって
患者数は大きく減少し、
これまで十分な対策が取られてきたと考えられてきました。


ところが専門家の最新の調査によって、年間で推計500人以上の乳幼児が、
自力で呼吸ができず人工呼吸器が必要になるなど、
重症となって入院している実態が初めて明らかになりました。
ワクチンで予防できるはずの病気に今、何が起きているのでしょうか。


戦後まもない1940年代後半には年間の患者数が10万人を超え、
乳幼児を中心に発症者の10%が死亡していましたが、
1950年にはワクチンの定期接種が始まり、患者数は大きく減少しました。


ところが、日本医療研究開発機構の研究班が、
10の県の病院を対象に、実態調査したところ、
去年1年間だけで、全国で推計500人以上の乳幼児が百日せきが
重症化して入院が必要となっていたことが明らかになったのです。
このうち80人ほどが、人工呼吸器による治療を受けるなど、
多くの乳幼児が命の危険にさらされていました。


調査にあたった福岡看護大学の岡田賢司教授は
「本来、ワクチンで防ぐことができる病気なのに
年間で推計500人以上が命の危険にさらされているという実態は
重く受け止める必要がある。ワクチン対策を見直す時代にきている」
と危機感を強めています。


日本では、現在、百日せきのワクチンは定期接種となっていて、
まず生後3か月以降1歳までに3回接種します。
続いて、3回目を接種してから6か月以上の期間をあけて
さらに1回追加接種をすることになっています。


ところが、このワクチンによる免疫の持続期間は
一般的に4年から12年とされています。つまり最短4年なわけで、
早ければ小学校に入学するまでにワクチンの効果が低下してしまうこともあるのです。



このため定期接種を終えたはずの家族が学校や職場などで感染し、
知らず知らずの間に自宅にいる、十分な免疫を持たない赤ちゃんに
うつしてしまうケースが多いと考えられているのです。


海外の研究では百日せきにかかった乳児の75%が、
母親を始めとした家族など、周囲の青年や成人層が
感染源となっていたとする報告もあります。