低糖質食 vs. 低脂質食

低糖質食 vs. 低脂質食,減量やCVDリスク低減でどちらに軍配?
肥満者が対象の米・RCT
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1409/1409018.html

米・Tulane University School of Public Health and Tropical Medicineの
Lydia A. Bazzano氏らは,心血管疾患(CVD)や糖尿病のない肥満者148例を対象に
低糖質食と低脂質食による介入を行った並行群間ランダム化比較試験(RCT)の結果を
Ann Intern Med(2014; 161: 309-318)で報告。
1年間の介入後,減量やCVD危険因子の改善効果を比較した結果が示された。


2008〜11年に, BMI 30〜45で22〜75歳の男女に参加を募り,148例を登録。
参加者の平均年齢は46.8歳で,女性が88%,アフリカ系米国人が51%を占めた。


73例を低脂質食(脂肪エネルギー比率30%未満,飽和脂肪酸は7%未満)群に,
75例を低糖質食(糖質40g/日未満)群にランダムに割り付けた。


参加者には身体活動量を変えないように指導し,
1日1食,低脂質食や低糖質食の置き換え食品(バーやシェイク)を支給した。


◆低糖質群で体重,HDL-C,CHD 10年リスクなどが有意に改善
3,6,12カ月時の体重減少は低脂質食群と比べて低糖質食群で大きかった。
ベースライン時と比べた12カ月後の体重の変化は低脂質食群の−1.8kgに対して
低糖質食群では−5.3kgとより大きく,両群間の平均差は−3.5kg
(95%CI −5.6〜−1.4,P=0.002)であった。


12カ月後の内臓脂肪の減少率も,低脂質食群に比べて低糖質食群でより大きかった
(平均差−1.5%,95%CI −2.6〜−0.4,P=0.011)。


12カ月後の両群における総コレステロール(TC)値,
LDLコレステロール(LDL-C)値に有意な変化はなかった。
一方,HDLコレステロール(HDL-C)値は低脂質食群と比べ低糖質食群で有意に上昇
(平均差7.0mg/dL,95%CI 3.0〜11.0mg/dL,P<0.001)。
TC/HDL-C比は,低糖質食群で有意に低下していた
(平均差−0.44 ,95%CI −0.71〜−0.16,P=0.002)。
トリグリセライド(TG)値も低糖質食群でより大きな低下が認められた
(平均差 −14.1mg/dL,95%CI −27.4〜−0.8mg/dL,P=0.038)。


糖質制限は減量やCVD予防の選択肢の1つに
このように,完遂率の高い(約80%)1年間の試験RCTにおいて,
低糖質食によりCVDや糖尿病,腎臓病のない肥満者の
体重,HDL-C値,TC/HDL比,TG値,CRP値,CHDの10年リスクが
有意に改善することが示された。