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笹嶋勝「クスリの鉄則」



アセタゾラミド:腎機能低下者に常用量は危ない!
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201201/523282.html


★適応
アセタゾラミドは、緑内障患者の眼圧を下げる目的でよく使われます。
アセタゾラミド500mgを服用すると、眼圧降下作用は服用後2〜6時間で最高となり
30〜40%程度、眼圧を下げます。
類似薬効を持つ点眼剤と比べても1.5〜2倍ほど強力です。


アセタゾラミドは、ほかにもたくさんの適応を持っています。
特に、睡眠時無呼吸症候群に適応を有する唯一の薬剤です。
利尿作用がありますが、寝る前に服用することもあります。


★頻度の高い副作用
最も頻度が高い副作用は
しびれなどの四肢知覚異常(25.9%)と頻尿・多尿(7.7%)です。
しびれは、唇に現れることもあります。
ほかに、食欲不振や胃腸障害も起こります。


★重大な副作用
アセタゾラミドで一番問題となるのは
長期使用における代謝性アシドーシスや電解質異常です。
なお、ビタミンCを大量に摂取すると腎・尿路結石ができやすくなります。


★腎機能障害者への投与量
主な排泄経路は腎臓であり、透析での除去率も悪いことから
腎障害のある場合には、かなり減量する必要があります。
にもかかわらず、添付文書には
適応症ごとに250〜1000mgの幅で記載されているのみで
腎障害時の使用量の目安の記載がありません。
腎障害のある患者へのアセタゾラミド投与は
量に関して十分な注意を払わないと大変危険です。


★適応外使用について

  • 癌化学療法の補助的目的

癌化学療法で高用量のメトトレキサートを用いた場合
尿のpHが低いと、尿細管などに結晶が析出し、腎機能低下を招くので
尿のpHを上げるために利尿剤として用いられます。
サイアザイド系薬やループ系薬では、尿のpHが低下してしまうためです。

  • 検査目的

脳血流SPECT検査における負荷試験で使用されることがあります。
アセタゾラミドを静注すると、強力な脳血管拡張作用を示し
正常脳では局所脳血流が50%以上増加します。
一方で、脳の代謝、血圧、呼吸、脈拍などにほとんど影響を与えません。
こうした作用を応用し、脳血管反応性(脳循環予備能)を評価するために使われます。
ただし、この検査の際に心不全が発症した事例が報告されています。

  • その他の適応外使用

高山病の発症予防、水頭症、本態性振戦に用いることもあります。