1999年8月8日チェンナイ(旧マドラス)
22:30にチェンナイ(旧マドラス)国際空港に着いた。
“マドラス”という言葉の響きが良かったので、ここに来ることに決めた。
銀行で1 万円札を両替すると3670Rs。1Rsは2.7円と換算する。
(98年5月に来た時は3.5円だった。)
空港の外に出るとむちゃくちゃ人がいる。
インドへ来たという実感が急激に高まった。
気合いを入れて歩きだしたが、ほとんど誰も声を掛けてこない。
拍子抜けした。
お迎え目的の人たちか、ヒマ人がたくさんいたということなのか。
北インドとは少し雰囲気が違う。
JET AIRWAYのチケット売場を発見。
窓口の笑顔のキュートなお姉さんに105$払って
翌日の11:30発トリヴァンドラム行きのチケットを確保できた。
そこへタイミング良く「ホテルどないでっかー」と客引きがあらわれたので
その男の言うなりにタクシーに乗ってホテルに着いた。
こぎれいなホテルだったのでそこに決める。
ぬるいシャワーを浴びて一服。
辰巳とビールでも飲もうかと着替えて
フロントで聞いてみたが飲めるところはなく
ホテルにも置いていない。あきらめて寝る。
8月9日 コヴァーラムビーチ
ホテルで朝食。目玉焼きとトーストとミルクコーヒーにする。
北インドではチャイが主流だが、南ではコーヒーだ。
目玉焼きの黄身の色が薄い。
ホテルの車で空港まで送ってもらって、JETに乗り込む。
(JETのスチュワーデスはサリーではなくスカートだ。)
飛行機の窓から外を見ていると
赤茶けた大地からトリヴァンドラムに近づくにつれ
椰子の木の緑が多くなってきた。豊かな南国の風景だ。
トリヴァンドラム空港に到着。
タクシーに乗り、コヴァーラムビーチへ向かう。
「地球の歩き方」によるとコヴァーラムは鳴き砂で
インド最高のビーチだそうだ。期待感が高まる。
ビーチに着く。波が高い。強い西風が吹いていて涼しい。
さっそく客引きが現れたので彼についてビーチを歩いていく。
砂は黒ずんでいて鳴かない。
また「歩き方」にだまされた。
そのホテルの1階はテラスレストランで客室は2階に2部屋しかない。
エアコンはないがロケーションが最高だったのでそこに決めた。
(200Rs=540円/1人)
とりあえず、1階のテラスでKINGFISHERを注文。
(70Rs=190円)
ビールはぬるいが風が気持ちいい。
KINGFISHERの瓶は茶色だったり、透明だったりする。
色にはこだわらずリサイクルしているようだ。
ビールに蠅がたかってくる。
果物売りのオバサンや、布売りのオッサン、サングラス売り
たばこ売りの子供などいろいろな人たちが現れる。
夕方スコールがあったがすぐ止んだ。
今夜のディナーは当然、魚料理だ。
選んだ魚を長い串にさしてもらって、
炭火焼きの大釜でじっくり焼いてもらう。
←辰巳
料理を注文しすぎたため食べきれなくなった。
テーブルの下でおこぼれを待ってる痩せた子猫に焼魚をお裾分け。
酔っぱらって寝る。潮騒の音がすごい。
8月10日 コモリン岬(インド最南端)
トリヴァンドラム発 カニャークマリ行き列車に乗る。(30Rs=80円)
隣にいたグループが話しかけてきて
駅に着くたびにいろんな種類の菓子を僕たちに買ってくれた。
ガイドブックには人からもらった食べ物や飲み物には
睡眠薬などが入っている可能性があるので
安易に食べたり飲んだりしてはならない、と書いてある。
辰巳はノーテンキに食べまくっている。
辰巳がだいじょうぶなのを確認してから僕も食べる。
終着駅のカニャークマリに到着。
トゥクトゥクの運転手に
「コモリン岬に行ってくらはい」と頼んだはずだが
当然のようにホテルに連れて行かれた。
こぎれいなホテルだったのでそこにする。
そこから歩いてコモリン岬へ行ってみる。
そこは海の沐浴場である。
数人が沐浴をしている。
風が強く寒い。
辰巳の持っていた使い捨てカメラに
団体の観光客が興味を示し人だかりとなった。
全員で辰巳のカメラで記念撮影したあと、握手責めにあう。
バスターミナルで翌日のマドゥライ行きバスのチケットを確保。
チケット売場のオッサンは
ガラス越しに釣り銭の10RSをごまかそうとしたので
文句を言って取り返す。
夜、屋台で焼きたてのポロッタという
渦巻き状のナンをカレーにつけて食べる。
これが絶品だった。
この村は聖地のため酒が飲みにくい。
いかがわしい酒屋でK.FISHERを買って(55RS)
紙袋に入れたまま屋台で飲む。
ここでも潮騒の音を聞きながら眠る。
8月11日
夜明けを待つ人々
目覚まし時計を4:30にセットし起床、沐浴場へ向かう。
暗いがすでに村には活気がある。
沐浴はすでに始まっている。
夥しい人たちと一緒に朝日を迎える。
物売りも現れにぎやかになる。
沐浴場にはむちゃくちゃ人がいる。
毎朝こうなのか?
昨日の屋台で朝食をとる。
ポロッタを期待したが焼いておらず
焼いているのはプーリ(あげパン)で
オッサンは、何も注文してないのに
プーリを4つとフライのおかずを2つ出してきた。
コーヒーも注文して計16RS(45円)だ。
9:30発マドライ経由チェンナイ行きバスに乗る。
すし詰め状態だったが指定席をとっていたので座れた。
次の大きな街で立っていた大勢の客は降りて落ち着いた。
バスは内陸に入り、枯れた大地を走る。
暑くなってきたがエアコンはない。
13:00休憩
僕が持っていたペットボトルのウーロン茶に乗客が興味を示し
「ウイスキーとちゃうかー」と言ってきた。
お茶だから飲んでみるかと言っても
皆ウイスキーだと信じて飲まなかった。
6時間かけてマドゥライに着いた。
更に列車でティルチラパッリ(ティルチー)に行く予定だったが
僕はあまりの暑さでダウン。
とりあえず駅へ行って列車のキップを買った。
発車まで3時間以上ある。
辰巳は元気で、寺を見に行きたいと言うので
一人で行ってもらうことにした。
直にスコールが降り始め、やがて雷雨となった。
2時間くらいたって辰巳が帰ってきた。
着ていたTシャツ、腕時計、サンダルが違うものになっている。
誰かと交換して藁しべ長者になったと喜んでいて
伊丹で働いていたと言う、かなり日本語のうまいインド人を連れてきた。
辰巳は彼からある日本人女性の電話番号を渡された。
日本にいた時の恋人が連絡をくれなくなったので
日本に帰ったら連絡するように伝えて欲しいとのこと。
彼によるとティルチーに行くにはバスの方が早いと言うので
列車をやめてバスターミナルへ向かう。
ティルチー行きのバスに乗り込む(22.5Rs=61円)。
バスは街灯のない道を100km/h近いスピードでガンガン飛ばしている。
席はガラガラで、しかも夜になって気温が下がって快適だ。
1時間後また雷雨となった。
バスの天井から雨漏りしてきて一気に不快になった。
休憩のあとエンジンがかからなくなったが押し掛けでスタート。
ティルチーに到着。
雨のせいか客引きは現れず、自分たちでホテルを捜し
ラムヤスという中級ホテルに決めた。
8月12日 寝台列車に乗る
朝、まずティルチー駅に行き
その夜の23:45発チェンナイ行き夜行列車のチケットを入手。
(1等車:1202RS=3250円)
次に日帰り観光でタンジャヴール行き列車のチケットを買う。
(2等:10RS)
タンジャヴール行き列車は11:15発の予定だが12:00まで待たされた。
車内は混んでいる。
線路に山羊がいる
14:00にタンジャヴールに着いた。
暑い。40℃以上あるのではないか。
世界遺産の寺を見に行った。
見事な建築物、さすがに世界遺産だ。
寺では裸足にならなければならない。
この日は特に直射日光が強かったため
石畳が熱くて歩きにくかった。
だが、インドの人たちは平気で歩いていた。
とにかく暑い。
コーラをがぶ飲みする。
聖牛ナンディ
バスでティルチーのホテルに戻る。
夜になってまた雨が降ってきた。
トゥクトゥクで駅に向かう。
蚊と戦いながら夜行列車を待つ。
時間通りに列車は到着、すぐに発車。
冷房が効いていて少し寒いが、一等寝台は最高だった。
清潔なシーツと枕、毛布を与えられた。
すぐに眠りに落ち、朝車掌に起こされるまで熟睡。
8月13日 マハーバリプラム
早朝、チェンナイに着いた。
バスに乗り換えてマハーバリプラムへ行きたい。
ブロードウエイは巨大なバスターミナルで
夥しいバス群の中から
マハーバリプラム行きを教えてもらい乗り込んだ。
(12Rs=32円)
この日は曇りで窓際の席は少し寒かった。
窓ガラスはない。
雨が降ってきたらどうするのか。
2時間後マハーバリプラムに着いた。
客引きが現れ、ラクシュミというホテルに行ってみた。
このホテルはビーチに近く雰囲気は良いが
白人だらけで辰巳は嫌だと言った。
僕は気に入ったのでここで泊まり
辰巳はここを観光したあと別の村へ行くという。
海岸寺院やクリシュナのバターボールなどを観光。
バターボールは正面から見ると今にも転がり落ちそうだが
横から見るとそうでもない。
ランチを食べたあと辰巳は
僕の部屋に置いていたバックパックを取り出し
ひとりでカンチプラムという村へ行くバスに乗り込んだ。
夕方、海岸寺院が見えるビーチ沿いのテラスレストランでGOLDEN EAGLEを飲む。
この街のビールはどこへ行ってもG.EAGLEだ。
魚を選んで、波の音を聴きながら焼魚のディナー。
ここでも風が西から東に吹いていて気持ちいい。
夜9時頃、突然停電し、天井の大きな扇風機が止まった。
暑くて部屋にはいられない。
屋上に出て星を見る。
他の人たちもそうしていた。
8月14日 チェンナイ(旧マドラス)
朝、ビーチで漁を見てから
チェンナイ行きのバス(12RS)に乗り込む。
途中オバチャンたちがタライに魚を大量に入れて乗り込んできた。
町へ売りに行くようだ。
バスが魚臭くなったが不快ではない。
サミュエルL.ジャクソン似のバスの車掌が
客から集めた10RS札をたくさん持っていたので100RS札の両替を頼んだ。
渡された10RS札を数えてみると9枚しかない。
もう1枚出せと文句を言う。彼は渋々もう1枚出してきた。
チェンナイに着き「グランドオリエント」のデラックスルームにチェックイン。
これまでのホテルの10泊分だ。(2280RS=6160円)
“貧乏旅行主義”の辰巳がいなくなったので贅沢に振る舞う。
ひさびさに熱いシャワーを浴びてから、
超高級ホテル「タージ・コロマンデル」のインドレストランにてランチ。
ギンギンに冷えた生ビールで喉を潤し、更におかわりをする。
さすがに料理もうまい。
観光を開始する。
チェンナイは大都会だけあってトゥクトゥクの運転手は感じの悪い奴が多い。
事前の価格交渉をやめてメーターを倒すように指示することにした。
メーターは7RS(19円)から始まり20パイサ(0.5円)ずつ上がっていく。
額は少ないが、これまでけっこうぼられていたことに気づいた。
マリナビーチに行ってみた。
観光客なのか、地元民なのかわからないが人がうじゃうじゃいる。
出店がたくさん出ている。
的当て屋、おもちゃ屋、乗馬屋、食べ物屋などがあり、楽しい雰囲気だ。
メリーゴーランド屋は子供が5~6人乗れる
小さなメリーゴーランドをオッサンが手で回す。
一回いくらなのか知らないが、回してくれる時間は短い。
楽しそうにはしゃいでいた子供が短時間で動かなくなった
メリーゴーランドできょとんとした顔をしている。
あとで聞いた話だが、手回しの観覧車屋もあるらしい。
8月15日
町では皆が紙のインド国旗を胸につけている。
聞いてみると英国からのインディペンデンスデイなのだという。
デパートの催し物会場でのど自慢大会をやっていた。伴奏はない。
見るべきところは昨日でほぼ終了したため
大きな街をとめどなく歩き続ける。
今日も暑い。
強烈な日差しから逃れるため、教会に入った。
がらんとしていてやや涼しく感じる。
時折、敬虔なクリスチャンが入ってきて
キリスト像に向かい跪き熱心に祈りを捧げる。
ビールを飲めるところで休憩をしながら歩き続けた。
川のそばを歩く時、硫化水素の嫌な臭いがする。
この街には貧民が多い。
この街の魅力は何も感じない。
(暑いせいかもしれない)
国際空港に行くと辰巳と再会。
カンチプラムでは何らかの事件があり
真夜中、警察にたたき起こされて取り調べにあったそうだが
それも含めてなかなか楽しかったようだ。