色・味・におい


http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/photo/14/851/


金曜日
俺はR君と向かい合って監査をしていた。
R君は軟膏容器に詰められたレスタミンの蓋を開けてニオイを嗅いだ。
「ニオイ嗅ぐよね」俺は言った。
「嗅ぎますね」R君は答える。


何故そんな質問をしたかというと
以前、ゆきちゃんと向かい合って監査をしていた時に
おれがR君と同じように蓋を開けてニオイを嗅いだら
ゆきちゃんが驚いたからだ。


その話をするとR君は
「ニオイは確認しないといけないでしょ」と言った。
「そやろ」俺は言う。


でも、この薬局には嗅覚が鈍い薬剤師がけっこういる。
それがわかったのは、体臭のきつい職員がいて
そいつの話題になった時
「臭いを感じない」と言った薬剤師が数名いたからだ。
臭いを感じない、ということは、味もわからないということだから
料理もダメだろう、と勝手に連想する。


と、そこで俺は
昔、薬学部で聞いた「色・味・におい」という言葉を思い出した。
残るは色だ。
先日TVで見た「色盲職業選択の自由を奪われた」
という内容のニュース番組を思い出した。


俺はR君に質問する。
「薬学部入学時に色盲の検査ってあった?」
「さあー、なかったと思いますよ・・・」
俺自身は検査をやったかどうかという記憶はまったくない。


そこに体臭のきついN君が話に割り込んできた。
「僕は色盲ですよ、赤と緑の!」


こいつは何でそんなことをいきなりカミングアウトしてきたのか?
つまり色覚異常でも薬剤師免許は取得できたってことだが・・・。

  • 色覚検査のすすめ 日本眼科学会

http://www.gankaikai.or.jp/colorvision/20151005_poster.pdf
鉄道運転士、パイロットなどにはなれない


  • 職業適性 滋賀医大眼科

http://www.shiga-med.ac.jp/~hqophth/farbe/tekisei.html
医師や薬剤師の仕事のうちある種の分野では、
色に対する判断の誤りが人命にかかわる場合があります。
たとえば、顔色や皮膚の色を読んで、
全身状態の変化に気付かねばならないところを見逃すことがあるかもしれません。
吐物や便、尿に血が混じっているのになかなか気づきません。
ですから、人命に直接かかわる仕事に関しては慎重でありたいものです。
できないということではありません。
色による判断を間違う可能性があることをよくわきまえて、分野を選ぶ、
あるいは日頃から注意をしているということで補える事ではあります。
しかし不利である事には違いありません。