インクレチン

新規2型糖尿病治療薬の使い方 清野裕先生 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100426-00000001-cbn-soci



インスリンの分泌能力が低い日本人には
膵臓インスリンを出すβ細胞が守られる
低血糖がない
▽体重が増えない
の3つの要件を満たして
インスリン分泌を促進できるというのが特に求められる薬ですね。


インクレチンは上に挙げた3つの要件を満たす可能性があります。
わたしは初期から使うことをお勧めしています。
高齢者も単剤なら低血糖がないので安心です。


非常に不思議なのは、SU薬が効かなかった人に対して
SU薬と新規薬を併用すると非常によく効く例が多く
SU薬の作用を回復させることによると考えられます。


注射薬はかなり強力ですから
ある程度インスリンを打たないといけないような人の何割かが
それに切り替えられる可能性があります。
そうすると、インスリンのように量の調節はないですし
単剤で使う限り低血糖はなくなるでしょう。


インクレチンの作用が強いと消化管運動の抑制があります。
膵臓へ作用すると、外分泌の貯留などが起こって
理論的には吐き気や嘔吐が起こります。
膵炎については、日本の臨床試験ではなかったですね。


ただ、臨床と実際では患者さんの状態が違います。
臨床試験の人は、選ばれた方々ですから。
実際にはお酒を飲んだり、膵臓がものすごく悪い人にも使われる可能性がありますよね。
起こり得る副作用は常に念頭に置いていなければいけません。


まず単独でどれくらい効果があるかを確かめる。
その上で、次に併用を考える。組み合わせは慎重に。
SU薬の量を多く使っているような人の併用はSU薬の減量などに注意しないといけません。


これまでSU薬の効果があまりなかった人に対して、新しい経口薬とSU薬を併用した場合
特に高齢者で、重症の低血糖を起こしているという報告を十数例聞いています。
よく解析してみると、SU薬が効かないので大量に飲ませていたケースが多い。
つまり、もともとの薬の使い方が非常に不適切であることが分かりました。
その状態でぽんと新規薬を併用すると
わずか2、3日で血糖値200-300の人が40以下の重症低血糖を起こしているのです。