バルプロ酸の胎児危険度分類をDからXに引き上げ

FDAバルプロ酸の胎児危険度分類をDからXに引き上げ
臨床試験で胎児期曝露により6歳時点のIQ低下
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1305/1305014.html



FDAは5月6日,バルプロ酸の胎児危険度分類を
「D(妊婦の使用による薬剤の潜在的リスクがある一方,
ベネフィットが得られる可能性がある)」から
「X(妊婦の使用によるリスクが薬剤の潜在的ベネフィットを明らかに上回る)」
に引き上げた。
今年(2013年)発表された臨床試験で,妊娠中のバルプロ酸服用により
他薬に比べ児の6歳時点のIQが低下することが示されたためと説明している。

妊婦への「片頭痛予防」の投与を禁忌

FDAバルプロ酸の胎児危険度分類をDからXに引き上げる他,
妊婦への「片頭痛の予防」を目的とした
バルプロ酸使用を禁忌とすることを発表している。


バルプロ酸の米国内における適応は
てんかん双極性障害躁状態片頭痛の予防で,
その他の精神疾患にも適応外使用されることがある。


今回の安全性情報では,
これらの薬剤の胎児危険度分類を最も重いXに引き上げる他,
妊婦への「片頭痛予防」を目的とした投与を禁忌とすることが示された。


今回の措置の根拠とされたのは,今年(2013年)発表された
NEAD(Neurodevelopmental Effects of Antiepileptic Drugs)試験の結果
(Lancet Neurol 2013; 12: 244-252)。
妊娠中にバルプロ酸を服用していた母親から出生した小児において,
他の抗てんかん薬を服用していた場合に比べ,6歳時点のIQの有意な低下が見られた(表)。


妊娠初期のバルプロ酸服用歴と児の二分脊椎などとの関連が知られており,
各種ガイドラインでは計画的妊娠や妊婦への慎重な使用,
葉酸の予防投与などが推奨されている。


今回の安全性情報では,同試験の全対象妊婦を対象とした解析により,
妊娠前から葉酸を使用していた群では非使用群に比べ,
IQ中央値が高い傾向が見られたとの情報も示されている。
しかし,この知見についてはあらかじめ設定された評価項目ではなく,
試験登録時に後ろ向きに収集された情報であることから,
FDAは解釈に注意が必要との見解を示している。
一方,同試験の主要な結果は過去の疫学研究の結果に矛盾していないとも述べている。

てんかんあるいは双極性障害では,他に治療の選択肢がない場合に限定

FDAが米国内の医療関係者向けに発表した安全性情報は以下の通り。


他の治療により適切な症状コントロールが得られない,
または許容しがたい事情がある場合に行うべき

  • 妊娠年齢の女性に対し,

胎内でのバルプロ酸曝露により児のIQが低下するリスクを知らせる

  • 医学的管理の必要性がない限り,

妊娠年齢の女性に対してバルプロ酸を使用すべきでない。
特に通常は永続的な障害や死亡に関連しない状況(例:片頭痛など)
での同薬使用については十分な考慮が必要

  • 妊娠を計画している女性に対し,

妊娠中のバルプロ酸使用の相対的リスクとベネフィット,
および治療の代替手段についてカウンセリングを行うべき

  • 児のIQ低下と妊娠中の胎内曝露の時期や長さとの関連は不明。

そのため妊娠中のいかなる時期においても,
バルプロ酸の胎内曝露が児のIQ低下につながる可能性があると考えるべき

  • 一般人口を対象とした研究において,妊娠前からの葉酸摂取が

妊娠初期に生じる二分脊椎のリスクを減少させることが明らかになっており,
バルプロ酸を服用中の患者においても妊娠前から,
あるいは妊娠中のルーチンな葉酸摂取を勧めるべき

ファイザーがバイアグラの宅配を開始

偽物のネット販売に対抗,米ファイザーバイアグラの宅配を開始
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1305/1305010.html

http://www.viagra.com/


ファイザーは5月6日,シルデナフィルバイアグラ)の
オンライン宅配サービスを国内向けに開始すると発表した。
バイアグラの偽物がインターネット上で
多く販売されていることへの対抗措置と説明している。

自称「オンライン薬局」の数は1万軒以上,合法的なサイトは3%

消費者の需要の高まりを受けて,
インターネット上で薬剤を販売するオンライン薬局が増加。
その数は1万軒以上に上るとの推計もある。
全米薬事評議会連合会(NABP)の調査によると,このうち,
処方せん薬を合法的に販売している薬局は全体の3%程度で,多くは
海外で販売されている薬剤やFDAの承認を受けていない薬剤を販売しているとみられる。

自分で処方せん情報をオンライン入力し,購入

ファイザーによると,ED治療薬の偽物は
処方せん医薬品の中で最も多く出回っており,独自にネット上で
“buy Viagra”の検索上位に登場した22の「オンライン薬局」から
該当薬を購入したところ10件中8件が偽物であったことも明らかにしている。
米国内では2012年に押収された偽物の薬の総額は約8,300万ドルに上るとの試算や,
こうした製品からは殺鼠剤や道路用塗料,
床用ワックスやホウ酸などが検出される事例も示されている。


ファイザーは今回,Viagra.comを設立。
同サイトに医師から出された処方せんの内容などを自分で入力すると,
プライバシーが守られた状態でシルデナフィルの宅配サービスを利用できる。

高血圧 生活習慣 ひとつでも改善

高血圧 きっと治せる!この一歩「生活習慣 ひとつでも改善」
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2013/05/0507.html

まずは生活習慣を改善する




血圧を上げる主な要因には、
食塩のとり過ぎ、肥満、運動不足のほか、
アルコールの飲み過ぎ、喫煙、ストレスなどがあります。


適度な運動には、
血圧を上げる交感神経の働きを弱めたり、
腎臓から塩分を排出しやすくする効果があります。
また、血糖や血中脂質の値が改善したり、
心臓や肺の働きがよくなることも期待でき、循環器病の予防につながります。

肥満の改善




肥満があると、交感神経の働きが活発になり、
またホルモンの働きで腎臓から排出される塩分の量が少なくなります。
これらの結果、血圧が上がります。


1食につき80kcal減らすと、1日3食で240kcal。
これを1か月続けると、約1㎏分の余分な脂肪を減らすことができます。
例えば、ロースカツなら1/6程度、ごはんなら50gが80kcalに相当します。

そのほかの要因の改善




喫煙は血圧に悪影響を及ぼします。
喫煙者はまず禁煙しましょう。
また、アルコールは、適量ならかまいませんが、
多量に飲むと血圧を上げ、脳卒中などのリスクを高めます。




イトリゾール パルス療法

爪白癬患者に処方された経口抗真菌剤
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変
 
日経DI 2002年9月号から2003年8月号までに掲載された問題集

◆Question

37歳の女性
皮膚科に行ったら、爪の水虫だと診断されて、
今日から治療を始めることになりました。
今していただいた説明で、薬の飲み方が
診察の時に先生に言われたのと違います。
どちらの飲み方で飲めばよいのですか。


処方せん
イトリゾールカプセル50 2カプセル
1日1回 朝食直後 14日分


口頭指示は
1日1回 1回4カプセル 朝食直後 7日間服用

◆服薬指導

ただいま皮膚科の先生に電話で確認いたしましたところ、
正しい飲み方は、先生からお聞きになった通り、
「1日1回 4カプセルを1週間だけ飲んで、次の3週間は飲み薬をお休みする」
という方法でした。
イトリゾールは、1日に1回1〜2カプセルを
毎日飲み続けるという方法が一般的なのですが、
爪の水虫の場合には、長く飲み続ける必要がありますので、
できるだけトータルの薬の量を減らすために、
今回のように変則的な飲み方をすることがあります。
具体的には、1カ月のうち 1週間だけ集中して毎日4カプセル飲むわけですが、
この方法の方が、毎日2カプセルずつ飲むよりも、
1カ月間に飲む薬の量が少なくて済みます。
飲む量は少ないのですが、治療効果は変わらないと考えられています。
この飲み方は、比較的最近考え出された新しい方法ですので、
そのまま処方せんに書いてしまうと、保険が利かなくなってしまいます。
そこで先生は、保険の範囲内でお薬を使うために、
本来の飲み方は処方せんには書かず、直接、口頭で指示されたということでした。

◆解説

 長期服用によるコンプライアンスの低下や、副作用発現を回避するために考案されたのがパルス療法である。イトラコナゾールで言えば、1カ月のうち1週間だけ1日400mgを服用し、続く3週間は休薬する。この方法は1995年に海外で提唱され、1日200mgの連日服用と同等の効果であったことが報告された。連日服用に比べて1カ月間の総投与量を減らせるため、副作用の発現リスクを軽減できる。またパルス療法の方が、爪の正常な成長が促進されることが報告されている。

 パルス療法が有効なのは、服用後に同剤が皮膚や爪のケラチンに速やかに移行し、比較的長時間滞留するからである。実際、1日200mgを連日服用した場合、爪中の薬剤濃度は3カ月で有効域の250ng/g以上に達し、内服中止後も5〜6カ月間維持されるが、1日400mgを1カ月間に1週間服用するパルス療法の場合も、3〜4カ月で250ng/g以上に達し、終了後5〜8カ月間はその濃度が維持される。「イトラコナゾール1日400mgを1週間/月」のパルス療法では、3〜4サイクルを施行した後、投与開始から12カ月後に効果を判定を行う。臨床的治癒率は76〜93%と良好である。

 ただしわが国の場合、爪白癬を含む表在性皮膚真菌症に対しては、イトラコナゾールの投与量が1日50〜100mgとなっており、上限も1日200mgである。このため、1日400mgを投与する方法は現実的ではなく、様々な変法が試みられているが、現時点では「1日200mgを1週間/月」という方法が一般的なようである。

 処方医の意図も、この「1日200mgを1週間/月」というイトラコナゾールのパルス療法にあったと考えられる。ただし、爪白癬に対するイトラコナゾールの1日200mg投与は適応外であるため、処方せん上は、1日服用量を半分の100mgとして基準範囲内に抑え、代わりに処方日数を倍の14日分にして、1回投薬量の帳尻を合わせたものと推測される。