大動脈瘤

動脈瘤は「サイレントキラー」 破裂前の治療が大切
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47669200V21C12A0EL1P01/



動脈瘤は心臓から全身に血液を送る大動脈の壁が瘤(こぶ)のように膨らむ病気だ。
ある日突然、大動脈が破裂すると大出血を起こし、高い確率で死に至る。
自覚症状がほとんどなく進行するため、「サイレントキラー」と呼ばれる。
破裂前に治療をするのが大切で、患者の負担が少ない血管内治療も普及しはじめた。


大動脈は胸から横隔膜を通って腹部に入り、へその下あたりで左右に分岐する。
瘤は大動脈の様々な場所にできる。
胸部、腹部、この2つにまたがる場合は胸腹部の大動脈瘤となる。
血管壁は3層構造になっているが、瘤ができた壁の構造で
真性、仮性、解離性に大別できる。瘤の形でも2つに分かれる。


◆年に1万5000人死亡
瘤ができる主な原因は動脈硬化だ。
血管壁がもろくなり高血圧の影響で瘤ができる。
直径2〜3センチメートルだった大動脈が1.5倍以上に膨らんでしまう。
それが限界を超えると破れる。
動脈硬化は年齢とともに進むので、誰にでも起こりうる。
患者は70〜80代が中心で男性が女性の約4倍。
厚生労働省の調査によると、この病気による年間の死亡者数は約1万5000人という。


発症すると病院に運び込まれても約半数が亡くなるといわれほど致死率が高いが
「大動脈に瘤ができても自覚症状はまずない」
と森之宮病院(大阪市)の心臓血管外科の加藤雅明部長は指摘する。





食生活や運動などに普段から気を配り
動脈硬化の進行を遅らせればリスクを下げられる。
反対に高血圧や高脂血症、たばこはリスクを押し上げる要因だ。
国立循環器病研究センターの湊谷部長は
「手術成績が明らかに落ちてしまうので禁煙は必須だ」と訴えている。