eGFR

医療相談室

慢性腎臓病の疑いあり…生活上の注意点は
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=67070


人間ドック結果で「慢性腎臓病(CKD)の疑いあり」と言われました。
eGFRは59.3、クレアチニンは0.98、血糖値は101でした。
人工透析が心配です。進行しないようにするには食生活をいかにすべきでしょうか。
数値がいくらになったら透析になるのでしょうか。(67歳男性)

Answer 透析の危険は合併症がなければ少ない。ただし体重管理・減塩・禁煙を

渡辺毅福島県医大病院 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科教授


CKDの定義は
(1)腎機能をeGFRで表せば
60(ml/分/体表面積1.73平方メートル)未満
(2)尿蛋白陽性または尿中アルブミン排泄量が異常(30mg/dl以上)
のいずれか、または両方が3か月以上続くこととされています。


CKDは透析の要因であるだけでなく
脳卒中や虚血性心疾患の原因にもなるとされています。
ただし、eGFRが低ければ低いほど
尿蛋白または尿中アルブミン排泄量が多いほど
透析、脳卒中や虚血性心疾患の危険性は高く
また両方が重なるとさらに高くなるとされています。
また、糖尿病、高血圧、喫煙、高尿酸血症、肥満などの合併症があると
eGFRの低下速度が速く、透析、脳卒中や虚血性心疾患の危険性も高くなります。


透析は、通常はeGFRが15未満となると導入の可能性が出てきます。
したがって、90歳までに15未満に達するには
1年にeGFRが4以上の低下がない限り、透析はあまり心配はいらないと思います。
ちなみに日本人の平均的な加齢による腎機能低下は
1年にeGFRが約0.5ですので、これなら透析は90年後という計算になります。


一方、糖尿病、高血圧、喫煙、高尿酸血症、肥満などの合併症があれば
腎機能低下はずっと早くなります。
それらの治療のために、生活面では、体重管理、減塩、禁煙、動物性脂肪の制限
節酒などの注意が必要ですが、薬物治療が必要な場合もあります。
また、尿蛋白陽性または尿中アルブミン排泄量の異常があれば一般的に薬物治療が必要です。
(2012年10月26日 読売新聞)