TPP農業問題

農作は国内に固執せず世界に羽ばたくべきだ  大前研一
http://president.jp.reuters.com/article/2011/01/17/17DB9678-1FCA-11E0-AC6A-36F73E99CD51-2.php



農業従事者の8割は兼業農家である。
2割の専業農家がネット直販など新しい農業のスタイルを懸命に模索しているのに対して
兼業農家の多くはJA(農協)におんぶに抱っこ。
JAに行けば肥料も農薬も手に入るし、生産物を持ち込めば平均的な値段で買ってくれる。
プロの専業農家はJAなど相手にしない。
農薬も肥料も近所のホームセンターで買ったほうが安いし
どんなにいい作物をつくっても平均的な値段でしか買ってもらえないから
むしろJAを嫌っているぐらいだ。専業農家だけならJAなど必要ないわけで
JAと兼業農家は互いに持ちつ持たれつの生命維持装置と化している。


兼業農家とJAの関係は農業利権だけで農政が成り立ってきた証しであり
集票マシンとして使うことに終始して国内に閉じ込めてきた農政の貧しさが
日本の農業を先細らせてきたのである。


そもそも日本の国土が農業に向いていないという問題もある。
日本は国土の90%が山地であると中学時代に習ったはずだ。


私はかねてから「農業は世界の最適地でやるべき」と主張してきた。
大規模農業と比べたら日本の農業など家庭菜園のようなもの。
生産性は比較にならない。
たとえば日本で「1キロ500円」でつくっているコシヒカリ
オーストラリアでは「1キロ25円」ほどで生産できるのだ。


要するにTPPをやるということは
日本は「農業最適地から輸入する国になる」ということなのだ。


日本の企業や若い世代が世界の農業最適地に飛び出し
広大な農地と日本の高い農業技術、そして現地の労働力を活用して
農業を“マネジメント”する。日本人がつくった農産物なら安心して輸入もできる。


環太平洋 TPP TPP